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混迷を深める世界情勢のなかで、とるべき針路は――。日本を代表する国際政治学者が交代で論じます。

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日中関係と東南アジア ゼロサムではない視点を=政策研究大学院大学長・田中明彦

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南シナ海に面した中国・海南島瓊海(けいかい)市潭門(たんもん)鎮。港には、実効支配を進める南沙(英語名スプラトリー)諸島に出漁する漁船が並ぶ=7月7日、林哲平撮影
南シナ海に面した中国・海南島瓊海(けいかい)市潭門(たんもん)鎮。港には、実効支配を進める南沙(英語名スプラトリー)諸島に出漁する漁船が並ぶ=7月7日、林哲平撮影

 今から40年前、1977年の8月7日、福田赳夫首相はクアラルンプールで当時創立10周年を迎えていた東南アジア諸国連合(ASEAN)=1=の首脳たちと、日本として初めての首脳会談に臨んだ。このマレーシア訪問を皮切りに、福田首相は、ビルマ(現ミャンマー)、インドネシア、シンガポール、タイと東南アジア諸国を歴訪し、8月18日、最後の歴訪地であるフィリピンの首都マニラで、日本の東南アジア政策についての演説を行い、三つの原則を明らかにした。

 その三つとは(1)日本は平和に徹して軍事大国にならない(2)東南アジアとの間に真の友人として「心と心のふれあう相互信頼関係」を築く(3)「対等な協力者」としてASEAN諸国と協力し、インドシナとの関係を強化する、というものであった。日本と東南アジアとの関係を語る時、必ず言及されることになる「福田ドクトリン」である。

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