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防衛白書

北朝鮮核「相当に進展」 ICBM実用化を懸念

北朝鮮が7月4日に発射した弾道ミサイルの射程

 政府は8日の閣議で、2017年版「防衛白書」を了承した。北朝鮮の核兵器開発計画について「相当に進んでいると考えられる」と強い懸念を示した。北朝鮮の弾道ミサイルについては、即時発射が可能な固体燃料を使い、移動式発射台から発射できる新型ミサイルの開発を進めているとし、「奇襲的な攻撃能力の向上を図っている」と危機感を強調した。

 核兵器については核実験を繰り返して開発を進展させたと分析。弾道ミサイルに搭載するための小型化について「実現に至っている可能性が考えられる」と従来にない表現で警告した。

 北朝鮮が7月4日に発射した弾道ミサイルについては「最大射程が少なくとも5500キロを超えるとみられ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級」と認定。「長射程の弾道ミサイルの実用化を目指している」と危険視した。

 また、2月12日と5月21日に発射された潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を地上発射型に改良したミサイルについては、通常の軌道で発射された場合「射程は1000キロを超える」と分析。いずれも移動式発射台から発射され、固体燃料のエンジンの噴射の兆候を示したとした。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、実戦配備を承認したと発表したことと併せて、「我が国を射程に入れる固体燃料を使用した新型弾道ミサイルが新たに配備される可能性が考えられる」と記した。

 中国軍の海洋進出については、今年1月に中国海軍の艦艇と航空機が日本海で訓練を実施したことに触れ、日本海での活動が「今後活発化する可能性がある」と指摘した。

 東シナ海での中国軍艦艇の動向については「活動海域を南方向に拡大する傾向」にあり、沖縄県・尖閣諸島に近い海域での活動が恒常化していると強調した。

 米国が内向き志向を強めているとの指摘を受け、日米安全保障条約に基づく米軍の駐留は「米国自身の利益につながるもの」と初めて明記した。

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報問題には触れなかった。白書は今月1日に閣議で了承される予定だったが、稲田朋美元防衛相の辞任を受け、巻頭言を3日の内閣改造で就任した小野寺五典防衛相のものに差し替えたため、公表がずれ込んだ。【木下訓明】

解説 新段階の脅威を指摘

 2017年版の防衛白書は、北朝鮮がさまざまな弾道ミサイル開発を進め、核兵器開発も「相当に進んでいる」と危機感をあらわにした。開発が複数の分野で同時に進み、それらが組み合わさった場合、深刻な脅威となるという意味で、北朝鮮の核・ミサイル開発は「新たな段階の脅威」と指摘した。

 北朝鮮は今年に入り弾道ミサイルを11回(計14発)発射した。これは昨年(15回計23発)とほぼ同じペースだが、今年は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)や中距離弾道ミサイル(IRBM)、短距離の改良スカッドミサイルなど弾種が幅広く、判明分だけでも新型と見られるものが半数を占めた。ミサイルが多様化すれば、それだけ日本が必要となる対応も複雑化する。さらに、発射までの準備が短期間で済むとされる固体燃料を使ったミサイルの開発が進み、発射も移動式発射台を使用。どこから、いつミサイルが発射されるかつかみにくくなっている。

 米国本土を狙うICBMが注目されるが、白書は今年2月と5月に発射されたSLBMを改良した「北極星2」について詳述した。日本の大部分を射程に収める1000キロを超える最大飛距離を有すると分析している。核兵器開発が進み、核兵器の小型化に成功した場合、日本を射程に収めるこの新型ミサイルの実戦配備の方がICBMより先行する可能性もある。【木下訓明】

防衛白書のポイント

・北朝鮮の核・ミサイル開発は新たな段階の脅威

・北朝鮮の核兵器計画は相当に進んでいる

・7月4日の弾道ミサイルは最大射程5500キロを超えるICBM級

・日本を射程に入れる新型ミサイル配備の可能性

・中国海軍が日本海で活動を活発化する可能性

・米軍駐留は米国自身の利益にもつながる

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