展覧会

テリ・ワイフェンバック「The May Sun」 命の記憶を捉える=評・高橋咲子

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 1957年、米ニューヨーク生まれの女性写真家、テリ・ワイフェンバックの、美術館で初めての個展。絵画を学び、写真には70年代から取り組む。美しい写真集に定評があり、日本にもファンは多い。

 2年前に、今回の会場となった美術館で滞在制作した「The May Sun」と、2004年に制作し、このたび新たにプリントした「The Politics of Flowers」の両シリーズを中心に構成する。いずれも家族との記憶が根底にあるからか、親密さに満ちていて、自然の生命を捉えた作品はセミ時雨が聞こえるような展示空間とも響き合う。

 前者は、美術館の周辺の草花や森を撮影した。1辺1メートル以上の大きな作品が多いが、決して威圧的ではない。幼いころから父と共に自然を散策し、植物の見方を教わったといい、作家の導きで自然の一隅に入り込むような感覚に陥る。あえて焦点をずらして表現された作品は、複雑な光が織りなす色と形によるイメージで見る人の記憶もまた喚起する。

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