- Twitter
- Facebook
- はてなブックマーク
- メール
- リンク
- 印刷

「形見に」と渡そうとした爪と髪の毛を、父は受け取らなかった。元海軍特攻隊員の西村辰三(たつぞう)さん(89)=京都市左京区=が父の怒りを理解できたのは戦後、家庭を築いてからだった。「子供が親に形見を渡すなんて残酷なこと。僕は一番、親不孝なことをしてしまったんや」。生きて帰った元軍国少年は今、子や孫、ひ孫に囲まれ、平和な時代が続くことを願い、この夏出版された戦争証言集に自らの体験をつづった。【田辺佑介】
西村さんは旧制立命館中学4年の時、学校で講演した海軍士官の呼びかけに応じ、「天皇陛下のために命をささげるんだ」と1943年10月に海軍飛行予科練習生(予科練)に入隊した。父辰之助(たつのすけ)さんは「子供の行くところじゃない」と反対したが、押し切った。
この記事は有料記事です。
残り747文字(全文1077文字)