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この夏、戦火を生き抜いた人たちの言葉に、改めて耳を傾けてみたい。
たとえば、1968年8月の「暮しの手帖」特集号を一冊の本にした「戦争中の暮しの記録」だ。疎開先の子の爆死、魚の空き箱で作ったひつぎ。読者の手記を集めた290ページのどこを開いても、これだけは書いておきたい、という悲痛な声が聞こえてくる。
あるいは、戦後まもなく発表された大岡昇平の「野火」。飢餓、累々たる死、人肉食い。フィリピン戦線での兵士の極限状況を克明に描いた大岡は、ついに精神を病んだ主人公・田村一等兵に、こう独白させる。「戦争を知らない人間は、半分は子供である」
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