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文大統領の光復節演説 慎重さ欠く「徴用工」言及

 日本統治下の炭坑で働かされた徴用工をテーマにした映画が韓国でヒットし、ソウル市内に徴用工像が建てられる。そんな空気の中での最高指導者による発言だけに懸念せざるをえない。

     韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」演説で、解決を必要とする日本との歴史問題として徴用工問題と慰安婦問題を同列に並べて語った。その上で、日本の指導者に「勇気ある姿勢」を求めた。

     徴用工に対する未払い賃金などの問題は国交正常化交渉の中で協議され、1965年の日韓請求権協定で解決されたことになっている。90年代になって外交懸案となった慰安婦問題とは経緯が異なる。

     盧武鉉(ノムヒョン)政権当時の2005年、協定の効力がどの範囲まで及ぶのか検証が行われた際に、徴用工問題は請求権協定で解決されたことが再確認された。文氏は、この問題を担当する首席秘書官として作業に加わっている。

     韓国最高裁が12年に徴用工問題の訴訟で協定の効力を否定する新判断を示した際にも、韓国政府は「解決済み」という立場を維持すると表明している。

     最高裁判断を受けた高裁での差し戻し審判決は原告の逆転勝訴で、被告の日本企業に賠償を命じた。再び最高裁に上告された訴訟で原告勝訴が確定すれば、多くの日本企業が訴訟リスクにさらされ、日韓関係にも重大な影響が出てしまうだろう。

     請求権協定を結んだ当時の韓国は軍事政権であり、元徴用工たちの思いが反映されていないという不満は理解できる。

     だが、そもそも戦後処理に完璧なものはない。その時々の国際情勢に応じて複雑な利害関係を調整するため必然的に妥協を伴う。時代が変わったからと国家間の合意を全面的に見直すことには無理がある。

     日韓は安全保障や経済など多くの面で互いを必要とする隣国だ。これまで築き上げてきたものを尊重し、さらに協力していかねばならない。

     慰安婦問題をはじめとする歴史問題は日韓ともに国民感情を刺激しやすい。両国の政治指導者には、常に慎重な対応が求められているという自覚が必要だ。

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