連載

今どきの歴史

歴史研究の最前線や新たな知見、話題のテーマなどを取り上げます。

連載一覧

今どきの歴史

国宝・金印論争(福岡市・志賀島出土) 溝の形は何を語るのか

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
九州国立博物館に勢ぞろいした金印。左から「廣陵王璽」「漢委奴國王」「〓王之印」=2005年10月、徳野仁子撮影
九州国立博物館に勢ぞろいした金印。左から「廣陵王璽」「漢委奴國王」「〓王之印」=2005年10月、徳野仁子撮影

 「中国の学術界では、(金印が本物であることに)全く疑問を持たれていません」

 東京の明治大で6月に開かれた講演会で、国宝「漢委奴國王(かんのわのなのこくおう)」印の偽造説を中国の研究者が完全否定した。

 古印研究の第一人者とされ、篆刻(てんこく)家としても高名な孫慰祖氏。ここ20年の中国の古印研究の急速な進展を紹介したうえで、「文字、鈕(ちゅう)(印のつまみ)、風格、鋳造技術、すべて時代の特徴に符合する」と断言した。

 教科書でもおなじみの金印。江戸時代の天明4(1784)年、黒田藩時代の福岡市・志賀島で百姓甚兵衛が水路の補修中に掘り出した。中国の正史「後漢書」東夷伝には紀元57年、「倭(委)の奴国が朝貢し、光武帝が印を与えた」との記述がある。志賀島出土の金印こそがこの印であり、当時の中国(後漢)と日本(倭)の交渉を裏付ける一級史料だとされてきた。一方、早くも江戸時代中に偽造説が浮上。完全には払拭(ふっしょく)…

この記事は有料記事です。

残り1176文字(全文1585文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集