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連載小説 ストロベリーライフ

/49 富士山にさよならを 作・荻原浩 題字・画、佃二葉

=画、佃二葉

「庖丁(ほうちょう)がなくても大丈夫。梨は皮ごと食べられるんだ」

 クーラーボックスの氷水でごしごし洗ってから、銀河(ぎんが)と陽菜(ひな)に梨を差し出すと、二人揃(そろ)って顔をしかめた。そうか、そういえば銀河は、リンゴでさえ皮を剥(む)いたものしか食べたことがない。おそらく陽菜も。

「だまされたと思って食べてみ。丸かじりって、うまいんだぞ」

 そのほうが栄養もある。苺(いちご)と同様、望月家では梨畑でも生物農薬、通称“天敵”を使っている(小さな畑だから殺虫剤に金をかけすぎると元手が取れないという事情もあるのだが)。おかげで農薬の量はちゃんと水洗いすれば心配のないレベルだ。

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残り2724文字(全文3013文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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