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イスラエル・エンドレスウォー

第3章 インテリジェンス最前線/5 「スパイの代償」一身に

米ニューヨーク国連本部の前で再会を喜ぶムサブ・ユセフ氏(写真右)とイスラエル対内諜報機関シンベト元幹部、ゴネン・ベンイツハク氏=ベンイツハク氏提供

ハマスの息子、暗殺回避への活動

 「ハマスのメンバーに会うのは初めてだった。凶暴なモンスターを想像していたが、座っていたのは私のように臆病そうな青年だった」。パレスチナ人らが対象のイスラエル対内諜報(ちょうほう)機関シンベト元幹部、ゴネン・ベンイツハク氏(46)が20年前の記憶をたどる。

 青年は、第2次インティファーダ(民衆蜂起、2000~05年)当時、イスラム原理主義組織ハマスのヨルダン川西岸地区トップだったハッサン・ユセフ氏(62)の長男ムサブ氏(39)。「繰り返し収監される父親にかわって、家族を守っていた」(母サブハさん)。1996年に「テロ容疑」で逮捕されたが「僕は平和運動家」と否認。だが担当官はハマス大幹部の息子をスパイにと考えてこう返した。「シンベトも暴力を沈静化させようとしている。その意味では平和活動だ。共に暴力をなくそう」。ムサブ氏は出所後の97年、協力に同意。ハンドラー(担当)となったベンイツハク氏は父親の側近に就くよう促した。ハマスの旗は緑色。シンベトはムサブ氏をグリーン・プリンスと呼んだ。

 イスラエル軍諜報機関アマン工作部門(504部隊)元幹部のデビッド・バルカイ氏によると「軍はスパイ候補者の経歴や家族関係を調べ、心理学のプロらと協議し(金銭など)物理的なものではない内心のニーズを探る。父親不在の生い立ちなどで父性を求めている青年は特に勧誘しやすい」。ベンイツハク氏は「謝礼は笑ってしまうほど安い。だがハンドラーは、スパイがその家族にも言えないような秘密を共有し心の奥底に入っていく」…

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