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おんなのしんぶん・MyWay

わたしの生き方 母とは違う方法で ジャーナリスト・重信メイさん

=東京都千代田区で、丸山博撮影
重信メイさんの歩み

 母は日本赤軍のリーダーでした。アラブ社会で「英雄」でも、日本では「国際テロリスト」。イスラエルと日本政府から追われていたので、捕まらないように難民キャンプや民家を転々として暮らしてきました。母は家にいないときが多かったですね。母の仲間と大家族のように暮らしましたから、さみしくはありませんでした。

     重信房子の娘であることは誰にも言えない秘密でした。知られるとイスラエルの秘密情報機関に命を狙われるから、自分が何者であるかを隠し続けました。引っ越しが決まったら普通は、連絡を取り合えるように行く先を伝えますよね。私の場合、完全に関係を切らないといけませんでした。自分の本名や、父や母が何をしている人なのか、普通の人ができる会話をできないのもつらかったです。

     幼い頃は「おてんば娘」でした。難民キャンプで暮らすうちに正義感が芽生え、いばっている男の子や、いじめっ子を許すことができなくなり、一対一で取っ組み合いのけんかをしたこともあります。

     8歳の誕生日に、母から「パレスチナ人と共に闘うために、日本からここにやってきたの」と打ち明けられました。政治的なことは分かりませんでしたが、大好きな家族と秘密を共有できるようになったことがうれしかったです。一人前として認められたことが誇らしくて。

     28歳までは無国籍でした。アラブ諸国などの支援もあり、通学したり、国境を通るために必要な仮の身分証明書を発行してもらったりしましたが、仮の身分だったので危険で。母が逮捕されたことをきっかけに、2001年に重信房子の長女として日本国籍を取得しました。羽がついたような、自由な気持ちになりました。

     若いうちから、母がどのように見られているかを知っていました。日本では武装活動しか一般的に知られていませんが、日本赤軍は医療や文化的協力を含む活動もしていました。母は罪のない人たちを巻き込んでしまうような武装活動に関しては反省しています。人間は過ちを犯します。誤りを認める勇気を持ち、新しい方法で進むことが大事だと思います。「人間が大切に扱われる社会を建設したい」という母の思いは、当時も今も変わりません。今でもパレスチナ人は差別され、殺され、祖国に帰る道は閉ざされたままです。私はジャーナリストとして、母とは違ったやり方で問題解決の方法を探していこうと思っています。

     ジャーナリストを目指したのは大学生の時です。英語で書かれた本を読んでいて、私が中東で見てきた状況と異なるものが書かれていると感じました。西洋が見ている中東と、現地の人や第三世界から見た中東は視点が違うし、報道の仕方も違うと意識するようになったんです。私は英語もアラビア語もできるし、中東で暮らしていたこともあって、私だから伝えられることはあるなと。

     中東問題で伝えたいことは、いろいろあります。特に思うのは欧米メディアは中東のことをセンセーショナルに報じているので、日本の人たちはメディアリテラシーを身につけてほしいということです。人間の価値、人間の扱いが不平等であることも知ってほしい。欧米でテロの犠牲になった人がいれば大きく報道されますが、イラクで多くの市民が殺されてもあまり報じられません。これからも中東を取材し、映画もつくりたい。新しいことにチャレンジしていきたいです。【聞き手・坂根真理】

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