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SUNDAY LIBRARY

小林 聡美・評『猫的感覚』『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

◆『猫的感覚』ジョン・ブラッドショー/著、羽田詩津子/訳(ハヤカワ・ノンフィクション文庫/税別980円)

◆『猫は、うれしかったことしか覚えていない』石黒由紀子/文、ミロコマチコ/絵(幻冬舎/税別1300円)

 7歳になるわが家の猫に、動物病院から健康診断のお知らせのはがきが届いた。猫の7歳は人間でいうと44歳。そろそろ健康に気をつけなくてはならないお年ごろだ。しかし実はこの猫、仔猫の時分から大の病院嫌い。猫にとっても病院はかなりのストレスだし、どう見ても丸々と健康的だし、ここ数年、病院はパスしていた。だが、なにやら左目が涙目っぽくなることが多くなり、心配なので思い切って健康診断に連れていくことに。しかし、診察室に入ると、7キロにまで成長した彼に再び悪魔降臨。噛(か)まないようにエリザベスカラーを装着され、手足を押さえられた彼の、瞳孔は開き、その雄叫(たけ)びは待合室にまで轟きわたった。そして飼い主としてなんとか落ち着かせようと優しく声をかけ、その顔を覗(のぞ)き込み目が合った瞬間だ。なんと彼は瞳孔を見開いたまま、私の顔面めがけて「ギャッ!!」と飛びかかろうとしたのである。手足を押さえられていなかったら、私の鼻にかぶりついていたことだろう。これは長年愛情を注いできたものとしては相当ショックな事件だった。

 長年友好的に暮らしても、突然こんなことになっちゃう猫。『猫的感覚』(ジョン・ブラッドショー、羽田詩津子訳)は、そんな猫の謎にたっぷりと迫る。猫の祖先は1100万年前、中央アジアの大草原地帯で暮らしていたプセウダエルルス。それが海をわたりさまざまな地で進化をとげ、ヤマネコとなり、害獣駆除の役割を担って人間の暮らしに入ってくる。その後宗教を背景に、生贄(いけにえ)や迫害の対象としてたくさんの猫が殺さ…

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