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社説

福島第1原発の廃炉戦略 現行工程には無理がある

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 事故から6年余りを経て、東京電力福島第1原発の廃炉の困難さが改めて浮き彫りになっている。

     炉心溶融事故を起こした1~3号機すべてにロボットカメラが投入されたが、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)と見られる塊が確認できたのは、3号機だけなのだ。

     政府と東電の工程表では、2021年にデブリ取り出しを始める計画だ。内部の状況がよく分からないまま、予定通りに進められるのか。作業の安全性確保を最優先に、工程を抜本的に見直すべきだ。

     原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、3基とも原子炉格納容器を水で満たさない「気中工法」で、格納容器の横側から底部のデブリを優先して取り出す工法案を示している。

     政府と東電は来月、これを基に取り出し方針を決め、廃炉の工程表も改定する。ただ、取り出し時期の大幅な見直しは考えていないようだ。

     機構は当初、格納容器を水で満たし、放射線を遮りながら作業することを検討した。断念したのは、格納容器の損傷がひどく、水漏れを防ぐことはできないと判断したからだ。

     ただ、気中工法も課題は多い。特に、細かな放射性物質が飛散しないように作業を進めることが難しい。

     そもそも、1~3号機のデブリの正確な分布状況は不明だ。サンプルを回収していないので、硬さなどの性状も分からない。工法決定より、内部の調査を進めることが先決だろう。田中俊一・原子力規制委員長も「取り出し方法を確定できる状況にはほど遠い」と指摘する。

     原子炉建屋の周囲の土を凍らせ、地下水の流入を遮断する「凍土遮水壁」は汚染水対策の切り札とされ、東京五輪招致活動中の13年5月に建設が決まった。国費345億円をつぎ込み、今秋にも全面稼働するが、遮水効果ははっきりしていない。

     政府や東電が遮水壁の完成や21年のデブリ取り出しにこだわるのは、五輪開催を意識し、廃炉は順調だと世界に言いたいからか。工程ありきで作業を急げば、トラブルが起きやすくなる。それがもとで、人的被害や風評被害が生じる恐れがある。

     莫大(ばくだい)な廃炉費用は電気代や税金が原資だ。政府と東電は、廃炉作業の現状と課題を正確に分かりやすく国民に伝え、理解を得る責務がある。

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