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加藤陽子・評 『日中戦争全史 上・下』=笠原十九司・著

 (高文研・各2484円)

 今年の夏は、一九三七年七月七日の盧溝橋事件をきっかけとした日中戦争勃発から八〇年にあたっていた。八〇年という時間は、ひとりの人間の一生に相当する。すでに、これだけの時間が流れたのだ。

 いくつかの新聞は日中戦争再考の意義を説き、NHKも七三一部隊と医学者との結託を特番に組んではいた。だが、人々の関心を大きく集めたとまではいえなかったように思う。太平洋戦争の巨大なインパクトを前に、その前哨戦たる日中戦争の姿はどうしてもかすみがちとなる。

 これまで、自らの戦争体験を語ってこなかった西村京太郎が、日本人は戦争に向いていないと断じて、今夏、話題をさらった(『十五歳の戦争』)。敗戦間際の経験の苛烈さに比べ、小学生だった西村の目に映じた日中戦争の日々は意外にも穏やかなものだった。太平洋戦争が始まるまでは、「戦争は、遠い場所でやっていて、大人たちも、緊張していなかった」。

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