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社説

高齢者の消費者被害 泣き寝入りさせぬ対策を

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 悪質商法などによる消費者被害やトラブルの総額は昨年4兆8000億円に上り高水準で推移している。

     中でも、判断能力の衰えにつけ込まれた高齢者が、詐欺的な手口による商法の被害を訴えるケースが少なくない。全消費者相談の3割近くを65歳以上の高齢者が占める。

     2025年には65歳以上が人口の3割を超える。高齢者の消費者被害を防ぐ対策を急がねばならない。

     高齢者が受けやすい被害に、商品を大量に買わされる「過量契約」がある。高額な布団や着物などを何度も買わされるようなケースが典型例だ。6月に施行された改正消費者契約法に、こうした契約が取り消せる規定が盛り込まれた。

     認知症などで判断能力がない場合に結んだ契約は民法上、無効になる。ただし、判断能力がないことを証明するのは非常に難しい。「過量契約」の規定で、通常の分量を著しく超える取引を、消費者の判断能力の有無にかかわらず取り消せるようになったのは一歩前進だろう。

     だが、まだ多くの課題が残されている。高齢者に多いのは、投資への勧誘など契約に伴うトラブルだ。

     年齢などのために判断力が不足した状況につけ込んだ契約を取り消せる規定を新たに設けるかどうか。内閣府の専門調査会が検討してきた。

     消費者団体の強い要望があったが、「判断力不足の基準が不明確」との反対があり、今月まとめた報告書に盛り込むことは見送られた。

     強引な勧誘に伴う納得できない契約の場合、事業者と消費者の力関係で、消費者が泣き寝入りすることは珍しくない。高齢者はなおさらだろう。どのようにすれば被害を防げるのか検討を継続すべきだ。

     インターネット通販の拡大に伴う消費者相談も増えている。政府は、ネット取引の注意点などをきめ細かく啓発する必要がある。

     消費者側の備えも大切だ。消費者契約法には、契約が取り消せる不当な勧誘や、不当な契約条項についての規定がある。だが、消費者庁の意識調査の結果を見ると、「(内容を)知らない」との回答が目立つ。

     パンフレットなどで積極的に情報を入手することや、高齢者については、家族や周囲の人たちが目配りすることが求められる。

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