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安保技術研究

応募倍増 予算18倍110億円

新設された高額研究枠の配分先6件と研究概要

4大学にも配分

 防衛装備庁は29日、自衛隊の防衛装備品に応用できる大学などの最先端研究を公募して助成する「安全保障技術研究推進制度」の配分先14件を発表した。3年目となる今年度は予算額が110億円と昨年度の6億円から18倍に増額されており、応募総数は104件と昨年度の44件(配分先は10件)から倍以上に増えた。

     同制度には「軍事研究に当たる」との批判が強く、科学者の代表機関・日本学術会議が今年3月、大学などの応募に否定的な声明を出した。しかし、大学からの応募は22件(22大学)で、昨年度の23件(21大学)とほぼ同じだった。公的研究機関からの応募は27件(昨年度11件)、企業・団体からの応募は55件(同10件)で、ともに増加した。

     配分先の内訳は、公的研究機関5件、企業・団体9件で、昨年度は5件あった大学は消えたが、分担研究先として4件に4大学が入った。学術会議の声明の影響について、同庁技術戦略部は「大学の先生が自発的に応募されることで、影響は分析していない。(分担先の)大学名は契約前のため公表できない」としている。

     今回の予算増に伴って新設された高額研究枠には6件が選ばれた。従来は年間で最大3900万円の研究委託費が原則3年間出るのに対し、高額枠には5年間で総額最大20億円が提供される。大規模な試作などが必要となる大型研究の成果を期待する狙いだ。

     公募は同庁が定めた30分野の研究テーマを対象に3~5月に実施した。批判を受けて今年度は「研究成果を特定秘密に指定しない」「研究内容に介入しない」ことを初めて明示した。【千葉紀和】

     日本学術会議の声明を検討委員長としてまとめた杉田敦・法政大教授の話 制度の規模が拡大したにもかかわらず大学からの応募が増えていない今回の結果は、声明のインパクトが大きかったと言える。一方、声明は研究の適切性を審査するよう求めており、応募した大学は社会に対して説明する責任がある。

    制度の必要性検証を

     安全保障技術研究推進制度を巡っては、日本学術会議が1年近くの議論を重ね、「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と断じた。全国の大学には応募を禁じたり、明確な学内方針が決まるまで保留したりする動きが広がり、一定の歯止めとなった。

     一方で「防衛予算だから軍事研究と決め付けるのはおかしい」といった反発の声も研究者の間では根強い。声明に法的拘束力はなく、大学からの応募数が大きく減らなかった結果からは限界も見える。

     今回、大学は代表機関としての採択はゼロだが、4大学が分担先として共同研究を担う。特に新設の高額研究枠は当初からチームでの応募が想定されており、批判を受けやすい大学を前面に出さない「大学隠し」の思惑も透けて見える。

     結果として採択されたのは常連の国立研究機関や防衛産業が目立った。革新的な研究が期待されたが、選ばれた内容に目新しさは乏しい。この制度の必要性も含め、初年度の成果が出る今年度は厳しい検証が求められる。【千葉紀和】

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