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水中生物 なぜ性転換 限られた出会い、子孫を残すため

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 オスか、メスか--。人間を含む陸上生物の性別は体の構造上、生まれてから死ぬまで原則変わらない。一方、魚などの水中生物は周辺の環境に合わせて性を変えるものもいる。なぜ、どうやって性を変えるのか。謎を追った。【伊藤奈々恵】

 ●わずか30分で

 和歌山県白浜沖のサンゴ礁で1973年、他の魚の寄生虫を食べることから「海の掃除屋」と呼ばれる、ホンソメワケベラを観察していた桑村哲生・中京大教授(66)=当時大学院生=は奇妙なことに気付いた。産卵行動では通常、オスとメスがペアになるのに、どのグループでもオスは最も大きい1匹だけで残りはすべてメス。他のオスはどこに行ったのか?

 試しに、そのオスをグループから取り除いた。直後に、その次に大きいメスが他のメスに尾を振って近寄った。オスの求愛行動だ。桑村さんは後に、ホンソメワケベラの性転換の論文が72年に発表されていたことを知った。ホンソメワケベラは一夫多妻制で、1匹のオスの縄張りの中に複数のメスがすむハーレムを作る。グループで最大の個体がオスで、それがいなくなるとその次に大きいメスが性転換する。

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