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社説

半導体売却先送りの東芝 いつまで迷走が続くのか

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 東芝は約5500億円の債務超過を解消し、株式上場を続けるのに欠かせない半導体子会社の売却先決定を先送りにした。債務超過解消の期限は今年度末だが、手続きなどから逆算して8月中の決定が求められていた。

     会社の存亡にかかわる事項を決断できない経営陣のもとでの再建を危ぶむ声が広がっている。

     今春の段階では、最高額の2兆円を提示した日米韓連合が経済産業省の意向もあって最有力だった。

     これ以前に、半導体事業で提携する米ウエスタン・デジタルが、国際仲裁裁判所に「売却は契約違反」と申し立てていた。だが、「安値で買いたいための戦術」とみる東芝は対決姿勢を強めた。

     方針が一転したのは8月。仲裁の審理は時間がかかるうえ、取引銀行にも早期決着を強く促された結果だった。これを受けて、東芝の経営会議はウエスタン・デジタルを売却先とすることを確認した。

     (1)売却額は2兆円程度(2)3年をめどに半導体子会社を上場させる(3)訴訟は取り下げるなどが固まり、最終合意が成立するかに見えた。しかし、将来の方向性をめぐり溝が埋まらなかった。経営に強く関与する余地を求めるウエスタン・デジタルへの警戒感と不信感である。

     日米韓連合が米アップルを加える提案を示し、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も巻き返しを狙うなど、新たな動きも決断を迷わせた。

     この結果、「リーダーシップをもって決める」(綱川智社長)との強い意気込みは「取締役会で検討したが、開示すべき決定事項はない」というお粗末な事態に陥った。交渉先を絞り込むことさえできず、時計の針が戻ったとすら言える。

     東芝は決算発表でも監査法人と対立し、半年近くまともな対応ができなかった。また時間を空費すれば、再建はおぼつかない。半導体子会社の売却は切り札ではなく、再建の出発点にすぎないのだ。

     東芝は重要な経営判断を下す局面で、経産省や銀行の意向に寄りかかりすぎの感がある。巨額の損失を招いた原発事業に傾斜し、見直す時機を逸した過去にも通じる。

     企業統治力を高め、早く迷走に終止符を打つべきである。

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