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エンタメ小説・今月の推し!

壮大な叙事詩 鮮やかな引力

 小川哲(さとし)さんの『ゲームの王国』上・下巻(早川書房)は、“ゲーム”という視点を主軸におき、カンボジアの過去の内戦と未来の混乱を描いた異色作。帯に「SF」と銘打ってはいるが、ジャンルを超えて人間の営み、もくろみを理知的に、時に魔術的に語ってみせる。ゲームの観点があるといっても、「戦争や人生をゲームのように捉えている」とそしられそうな代物ではない。

 上巻はシハヌーク、ロン・ノル、ポル・ポトと支配者は変わっても虐殺が続く過酷な内戦時に生きる人びとの姿が、南米文学ならぬアジア的なマジックリアリズムの手法で物語られる。無実と知りながら罪人を作る秘密警察、理不尽に惨殺される住民、理屈ではなく独自の論理で生きている農民。魔術的な語りの中に彼らが躍動し、庶民から描く歴史小説のような面白みがある。

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