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磯田道史・評 『天皇の戦争宝庫-知られざる皇居の靖国「御府」』=井上亮・著

 (ちくま新書・864円)

 とうとう出た、出てしまった、という歴史書である。吹上新御所に参内したことがある。夜だった。宮内庁舎前から新御所まで、宮中三殿の脇を侍従職の車で通ったが、闇の中なので、どれが先帝の生物学御研究所だとか、さっぱりわからなかった。帰ってから、グーグルの航空写真と地図で確認したが、さらにわからない。思いあまって神社本庁の偉い方におききした。その時の困った顔をはっきり憶(おぼ)えている。「実は吹上(皇居内)には大日本帝国の戦利品などを収めていた建物がいっぱいありまして」。明らかに苦しい表情。触れてくれるな、という感じであった。このとき私は、封印されてきた「御府(ぎょふ)」の存在を知ってしまった。

 たしかに、振天(しんてん)府(日清戦争)・懐遠(かいえん)府(義和団の乱)・建安(けんあん)府(日露戦争)・惇明(じゅんめい)府(シベリア出兵等)・顕忠(けんちゅう)府(日中戦争等)の字面は史料上でみていた。大日本帝国の天皇が「分捕品」と戦死者の名簿と写真を一堂にあつめて、戦争を記念・慰霊した施設である。しかし、これらが「皇居の靖国」として想像以上に、大日本帝国にとって重要な施設であったとの認識…

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