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連載小説 ストロベリーライフ

/53 当たるなはずれろ天気予報 作・荻原浩 画、佃二葉

=画、佃二葉

 電話の向こうの風の音が強くなった。雅也(まさや)さんが言う。

「今日帰る予定だったんだけど、台風が近づいてて、飛行機が欠航しちゃってね。今度の台風はかなり大きいみたいだよ。そっちはまだだいじょうぶ?」

 窓の外で木々の梢(こずえ)がざわりと鳴った。

“台風は勢力を強めて北上し、夜半過ぎには上陸する模様。暴風や高波にはじゅうぶんな警戒が必要です”

 腰のベルトに吊(つ)るしたラジオから新しい台風情報が流れてきた。時刻は午後一時。すぐそこに植わった夏蜜柑(みかん)やレモンの木の繁り葉が、ざわざわと不吉な音を立てて揺れはじめている。恵介(けいすけ)は昨日から10000株の苺(いちご)を守るための防衛対策に追われていた。

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残り2820文字(全文3128文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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