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連載小説 ストロベリーライフ

/54 そして、実りの冬が来る 作・荻原浩 画、佃二葉

=画、佃二葉

 ハウスの中に耕運機に似た音が響き渡っている。種類の違う二台の耕運機がてんでにエンジンを吹かしているような騒がしい音だ。

 バタタタタタタタタタタタ。

 バタバタバタバタバタバタ。

 ひとつは雨が高設ベンチを包んだマルチシートを叩(たた)く音。もうひとつは、そのマルチシートの一部が風にめくれあがってはためく音。

 雨は上からではなく横から降りかかってくる。かぶっていたフードはとっくに風にむしり取られていた。恵介(けいすけ)は懐中電灯を小脇に挟み、合羽(かっぱ)を着たままシャワーを浴びてしまったようなありさまで、めくれたシートを固定用のベルトでくくり直す。

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残り2914文字(全文3191文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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