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連載小説 ストロベリーライフ

/55 皮算用あるいは大いなる戦略 作・荻原浩 画、佃二葉

=画、佃二葉

 ぷうぅぅぅん。

 第一ハウスに入ると、クロマルハナバチが、蜜蜂よりたくましいF1マシンみたいな羽音を立てて顔の前を横切っていった。

 第二ハウス同様、こちらも高畝(うね)に繁る緑葉の下にちらほらと、赤く染まりかけた実が顔を見せはじめたばかりだ。土耕で紅ほっぺだけを栽培しているここの苺(いちご)は、基本的に親父(おやじ)のやり方を踏襲して育てあげた。

 マル秘ノートのメモ書きと数値が頼りだった五月までの前シーズンと違って、今回はノートの筆者がすぐそばにいるわけだから話が早い――と思ったらこれが大間違いだった。

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残り2944文字(全文3199文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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