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連載小説 ストロベリーライフ

/56 何を為すために自分は生まれたのか。 作・荻原浩 画、佃二葉

=画、佃二葉

 『富士望月いちご』の販売は「収穫できしだい順次出荷」とあらかじめ断り、到着日はこちらに任せてもらうシステムだ。朝採りした苺(いちご)をただちにパッケージに詰めて出荷する。送料は別。

 完熟苺が一般に出まわらない理由のひとつは、輸送が難しい点にある。宅配用のパッケージづくりは苺をつくるのと同様、試行錯誤の繰り返しだった。製作を依頼した学生時代の友人のプロダクトデザイナーには、ずいぶん無理を言った。

 採用したのは桃の輸送方法を苺用に改良したやり方だ。苺ひとつひとつにフルーツキャップと呼ばれる発泡スチロールのネットをかけ、卵パックの下半分のような紙製の中敷きにひと粒ずつ収める。さらに紙パッキンやクッションシートなどの緩衝材で全体を覆う。苺と富士山を筆絵のタッチで描いたパッケージデザインはもちろん恵介(けいすけ)作。

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残り2806文字(全文3166文字)

荻原浩

さいたま市出身。成城大卒。1997年「オロロ畑でつかまえて」で小説すばる新人賞を受賞してデビュー。「海の見える理髪店」で第155回直木賞受賞。東京都在住。

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