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敗け戦さ、描きたかった…「売れぬ」葛藤

新たに見つかった水木しげるさんの未発表随筆。漫画用の原稿用紙に書かれていた=東京都調布市で2017年9月1日、福島祥撮影

未発表随筆、見つかる

 「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家の故・水木しげるさんが半世紀前に書いたとみられる未発表の随筆が見つかった。南方戦線で爆撃され左腕を失った水木さんは、売れるためには戦争を肯定的に描かざるをえなかったことを振り返り、「ぼくが書きたいのは敗(ま)け戦(いく)さの話だったんだが、それはゆるされないのだ」と複雑な思いをつづっている。【福島祥】

     随筆は水木さんの死後1年半ほどたった今年5月、次女が東京都調布市の水木プロダクションの書斎を片付けていて、ファイルの中から見つけた。漫画用の原稿用紙1枚いっぱいに鉛筆で書かれ、文末には花と小さな虫の絵が添えられている。

     貸本向け漫画雑誌「少年戦記」(兎月書房)のために戦争の漫画を描いていた1960年ごろを回想し、「ぼくが書きたいのは……」に続いてこう記した。

     <少年たちは花々しいガダルカナル戦あたりまでしか読んでくれないのだ。だから本があるていど売れるためには戦争に肯定的にならざるを得ない。自分の思ったことを書いて売れるなんてマンガはそんなもんじゃない>

    新たに見つかった水木しげるさんの未発表の随筆。「ぼくが書きたいのは敗(ま)け戦(いく)さの話だったんだが」などと記されている=東京都調布市で2017年9月1日、福島祥撮影

     水木プロダクションによると、60年代後半、漫画雑誌「ガロ」(青林堂)向けに書いたとみられるが、発表されていなかった。

     水木さんはこの後、従軍した太平洋戦争の激戦地、ラバウル(現パプアニューギニア・ニューブリテン島北東部)での凄惨(せいさん)な軍隊体験をもとに、代表作「総員玉砕せよ!」(73年)を描いた。

     長女で水木プロダクション代表の原口尚子さん(54)は「『負け戦を描きたい』という思いは、後の『総員玉砕せよ!』につなげられていると思う。そこにいたるまでの本人の葛藤が、原稿を読んで改めて見えてくる感じがした」と話す。

     随筆は、10月3日に発売予定の「水木しげる漫画大全集 貸本戦記漫画集6 絶望の大空他」(講談社)に収録される。

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