メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

今週の本棚

渡辺保・評 『蜷川幸雄×松本雄吉 二人の演出家の死と現代演劇』=西堂行人・著

 (作品社・2592円)

共に前衛的精神を失わず

 二〇一六年二人の演出家が世を去った。蜷川幸雄と松本雄吉。

 その二人の演劇史的な業績をほとんどはじめて分析した本である。ここで私があえてはじめてというのは、二人の死後、多くの追悼文が書かれたにもかかわらず、それらは二人の思い出話や逸話に止(とど)まって、二人の作った舞台の持つ本質的な意味にまで至っていないからである。西堂行人(にしどうこうじん)はその事実を不満に思ってこの本を作った。私も全く同感である。芸術家は、その作品によってあるいはその作品に示された思想によって記憶されるべきであって、思い出話や逸話によってのみ記憶されるべきではない。しかし芝居は文学や美術と違って一回限り。作品が残らない。その本質を論じようとすればまず作品そのものを、見たことのない読者に実感させなければならない。それが時間芸術の批評の難しさであり、西堂行人はその難しさのなかで二人の演出家の本質に迫っている。

この記事は有料記事です。

残り1607文字(全文2024文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 子宮頸がん HPVワクチン 放置はもうゆるされない 厚労省は逃げるな

  2. 弘前藩が「秘薬」アヘンを製造 「気分良くなる」と評判、偽薬も流通

  3. ORICON NEWS 『大家さんと僕』舞台のアパートで福山雅治が映画撮影 矢部太郎も郵便局員役で出演

  4. 桜を見る会 官僚「のらりくらり答弁」の背後に何があるのか

  5. 大阪・吹田市で70代夫婦が死亡 無理心中か

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです