桐生9秒台

「世界のスタートラインに立てた」

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男子100メートル決勝、9秒98で優勝して喜ぶ桐生祥秀=福井運動公園陸上競技場で2017年9月9日、山崎一輝撮影
男子100メートル決勝、9秒98で優勝して喜ぶ桐生祥秀=福井運動公園陸上競技場で2017年9月9日、山崎一輝撮影

 速報タイムで「9秒99」だった表示が、すぐに「9秒98」に変わった。その瞬間、桐生はメインスタンド前で何度も跳びはねた。どよめきと歓声が会場を包む。日本陸上界に立ちはだかってきた「10秒の壁」を、ついに突き破った。この4年半、「9秒台」への期待と重圧を最も受けてきた男は「ゴールしてから9秒99で、(正式タイムで)10秒00にならないようにだけを祈っていた。0.01秒でも早くフィニッシュラインを駆け抜けられたのでよかった」と歓喜の表情だった。

 1998年12月13日、バンコク・アジア大会の男子100メートル準決勝で伊東浩司が日本記録を樹立した際、電光掲示板は最初に「9秒99」を示したが、すぐ「10秒00」に切り替わった。9秒台まで約10センチ。日本陸上界に「10秒の壁」は呪縛となった。伊東は9秒台への期待の声が苦痛で「あの気持ちは誰にも分からない」と振り返る。

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