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こころの病克服へスクラムを=山脇成人・日本学術会議脳とこころ分科会委員長

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 超少子高齢化社会において認知症患者の介護・医療にかかる社会保障費が膨らみ、これを支える働き盛りの世代ではストレス社会を反映してうつ病患者が急増し、自殺や長期休職が社会問題化している。現状は国家的な危機といえる。

 精神的な病は、昔は原因不明で不治の病として患者は隔離されることもあったが、約60年前から抗精神病薬、抗うつ薬などが登場し、その後も新薬が次々と開発され、今では治療が可能な病気として外来による治療が一般的となっている。ところが、これらの治療薬が効かない患者がまだ全体の3~4割いる。最近10年間は、うつ病でも認知症でも新薬開発がことごとく失敗し、欧米の大手製薬企業が撤退し始めている。

 最大の要因は、客観的な診断法が確立されていないことにある。例えばうつ病には、産後うつ病、老年期うつ病、若年者に増えたといわれるいわゆる新型うつ病などさまざまな病態があるが、いずれも同じうつ病と診断される。そして、不均一な患者を対象に抗うつ薬の効果を検証しているため、十分な治療効果を確認できずに開発に失敗、企業は撤退--という構図になっている。このままでは既存の薬が効かない膨大な患者たちが取り残さ…

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