メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

詩歌の森へ

花桃を咲かせる幹=酒井佐忠

 <花桃の木だから母をわれへ子へ次へ百年(ももとせ)継ぎてゆくべし>。中川佐和子の新歌集『花桃の木だから』(角川書店)の歌集名にとられた一首である。この歌の前にも、<母が何かいまだわからぬままなれどわが母の幹のつよさ見ており>という歌もある。花桃の木の幹は、すっくと真っすぐにつよく立っている。「母とは何か」といまだに自問しながらも、母から「われ」へ、さらに子に、百年つづく生命の不思議と「幹のつよさ」を作者は語る。

 中川は、歌誌「未来」選者、日本歌人クラブ中央幹事を務めるベテラン。個性的な感覚をもった河野愛子や近藤芳美に師事しただけに、社会的視座を常に抱える歌人でもある。だが、新歌集は、視点を高みからではなく、より日常的な場所に下して歌っている。<家去りし娘の気配ありたれば居間の手書きのメモをはがさず>。そんな生活のなかにも作者は、<遠くより眺めてさらに鮮やかな黒立葵そよがずに立つ>と、毅然とした心を確認す…

この記事は有料記事です。

残り170文字(全文578文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. ORICON NEWS 櫻井翔、二宮和也からの大量の“迷彩マスク”プレゼントに「ありがとうございます!」

  2. 1年に1度しか見ちゃダメ? 幸運もたらす謎の毛玉「ケサランパサラン」

  3. 駿河湾に1メートル超の深海魚 「ヨコヅナイワシ」と命名 海洋機構ら研究チーム

  4. 新型コロナ 本当にデタラメなのか 河野太郎行革相が批判したNHKワクチン報道を検証した

  5. 「GoToトラベル」開始後に旅行関連の感染者増加 京大・西浦教授分析

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです