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無残 国が復興工事で破壊

柱状節理が露出した川岸は工事用道路建設で大きく削られた=熊本県南阿蘇村で2017年9月8日、清水晃平撮影

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界ジオパーク」に指定されている熊本県・阿蘇の見どころの一つである立野峡谷(同県南阿蘇村)で、阿蘇山の溶岩が作り出した柱状節理(ちゅうじょうせつり)が、国の復興工事で破壊されていたことが分かった。工事は昨年4月の熊本地震で崩落した阿蘇大橋を別の場所に架け替えるもので、国は県に柱状節理を壊すことを説明していなかった。

世界ジオパーク指定

 柱状節理は、凝固した溶岩に角材状の割れ目が縦に入る地質上の現象。立野峡谷では川岸に柱状節理が大規模に露出しており、そのうち幅110メートルが壊されているのを8月30日に市民団体のメンバーが見つけた。

 現場では、国土交通省熊本復興事務所が阿蘇大橋に代わる新しい橋の建設を進めている。長さ250メートルの工事用道路を川岸の崖上から下に向かって新設するために、柱状節理を含む幅110メートル、高さ70メートルの川岸を削っていた。ほとんどが民有地だった川岸を国が買収し、昨年11月に着工した。

 阿蘇ジオパーク推進協議会の構成員である県阿蘇地域振興局によると、熊本復興事務所から橋を架ける場所の説明は受けたが、具体的な工事手順や柱状節理を壊すことなどは聞いていなかったという。

 熊本復興事務所は毎日新聞の取材に対し、道路工事について「復興復旧を急いでほしいとの声もあった」と述べるにとどまった。

 日本ジオパーク委員会の委員を務める平田大二・神奈川県立生命の星・地球博物館長は、個人的な意見と断った上で「関係者に知らせぬまま柱状節理が壊されたのは大変残念。ジオパーク委員会は地域の活性化や持続可能な開発は認めており、ジオパーク推進協議会の構成員には事前に知らせて一緒によりよい方法を考えるべきだ」と話す。

 世界ジオパークは4年ごとに再認定の審査があり、適切な保存などがされていない場合は「条件付き再認定」となる。阿蘇は来年審査を控えており、阿蘇ジオパークガイド協会員の中島一美さん(69)は「阿蘇の復興も大事だが、立野峡谷の柱状節理は重要な見せ場の一つだった。これ以上、破壊されないよう早急に申し入れたい」と話す。【福岡賢正】

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