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ANA

車いすに見る未来を見据えた障害者対策

体格の大きな人向けの車いす(右)とリクライニング可能な車いす=東京都大田区の羽田空港で、米田堅持撮影

 全日本空輸(ANA)では、障害をもつ乗客への対応に力を入れている。保安検査場の金属探知機を通ることができる樹脂製の車いす(2016年導入)は全国の空港に約200台配備され、残る約200台の金属製車いすも19年度末までに入れ替える予定だ。20年東京五輪・パラリンピックの「オフィシャルパートナー」としてという意味合いもあるが、その後を見据えた取り組みでもあるという。車いすを例に、ANAの次の時代への対応策を探った。【米田堅持】

さまざまな種類の車いす

 ANAでは一般的に使用される樹脂製の車いす以外に、特別な車いすも用意している。

 「まだ10空港で10台ですが、これから増やしていく予定です」

 身障者対応を担当するCS&プロダクト・サービス室の小島永士さんは、空港用リクライニング車いすの存在を教えてくれた。座面をフルフラットにできる車いすで、フルフラット時の全長は約200センチ、座席幅40センチ。機内には入れず、フルフラットのまま移動はできないが、長時間座ったままの姿勢を保つのが困難な人のために用意されている。座席幅38センチで機内に入れるタイプもある。

 導入のきっかけは、空港や搭乗口などで何度も車いすを乗りかえる必要があり、乗客の負担が大きかったためで、現在は東京・羽田や北海道・千歳、大阪・伊丹、福岡、沖縄など主な空港にしかないが、順次増やしていくという。この他にも、樹脂製車いすでは納まらない大柄の人のための空港用大型車いすや、機内用大型車いすも用意されている。

 また、飛行機の搭乗口との段差をなくすボードや、空港によっては車いすのままタラップを上がる装置などもある。これらは航空会社で用意することが多いため、会社によって対応は異なる。

次の時代に向けた布石

 東京五輪をにらんで、ANAは昨年から障害者向けサービスへの取り組みを強化しているが、東京五輪・パラリンピック向けという短期的な面だけでなく、顧客の年齢層の変化に備えた中長期的な取り組みという側面も持っている。

 「高齢のお客様が増えたから対策をしましょうでは遅い。今は非日常でも、将来の日常に備える必要がある」と小島さんは語る。

 現在のANAの乗客は30~50歳代が大半を占めており、鉄道など他の交通機関へ流れている高齢者の取り込みも課題だという。少子高齢化の影響もあり、30~50歳代の顧客の増加は見込めず、現在の主要な顧客の高齢化が進めば、車いすなどのニーズが高まると予想している。

 小島さんは「欧米では樹脂製車いすこそないが、専門スタッフが手厚い対応をしている。健常者と障害者が区別なく利用できるようにすることは、グローバル対応の一環でもある」とバリアフリー対応の意義を強調する。空港での対応については「設備によって異なるが、可能な限りの対応をするので、車いすだけでなく、サポートを必要と感じたら予約時に遠慮なく相談してほしい」と話している。

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