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華恵の本と私の物語

/14 王妃の帰還

 中学ちゅうがく年生ねんせいころ、クラスで「ハブり」がはやっていた。リーダーは、ユカだ。はなしがうまくて、人気者にんきもの彼女かのじょ悪口わるぐちわれたひとは、たちまちハブられることになるのだった。

     2学期がっきはいると、わたしのばんになった。2週間しゅうかん完全かんぜんにひとりになった。

     1か月後げつごつぎ標的ひょうてきがナオコにまった。

     あたまがよくて、スタイルも抜群ばつぐんで、ちょっとツンとしていて、高級こうきゅうデパートでよくものをしていることから、「ひめ」とばれていたナオコ。いつもユカとナオコはいっしょだった。まさかそのナオコが、ハブられるなんて……。

     初雪はつゆきった学校帰がっこうがえり。もんたところで、背中越せなかごしにこえをかけられた。くと、ナオコがっていた。

     ナオコのつめたいかぜながれるかみなが意志いしつよそうな。こんなちかくでかおるのははじめてだ。

     「一緒いっしょかえらない?」

     みみうたがった。ひめが、わたしと? がるほどうれしかった。

     それ以来いらい、わたしたちはいっしょにごす時間じかんえた。ナオコは可愛かわい文房具ぶんぼうぐやグッズをたくさんおしえてくれた。彼女かのじょは、ハブられても、気高けだかかった。

     そのナオコと、2年生ねんせいになった、クラスがはなれてしまった。

     廊下ろうかされたクラス名簿めいぼかたとしていると、きなれた、たかわらごえこえた。となり教室きょうしつで、ナオコがつくえによりかかって、みんなとになっている。

     その中心ちゅうしんはなしていたのは……ユカだった。おおきくひろげ、だれかのモノマネをしている。

     ナオコはおなかをかかえて、くるしそうにわらっている。

     ユカがはなしにオチをつけ、ゆるやかに女子じょしたちのがほどけた。ナオコはわたしをつけ、ちかづいてくる。

     「ハロー、はなえ」

     「ねえ、いまなに? あのうことに、わらえるの? ……ユカをゆるしたの?」

     裏切うらぎられたようなかなしさがこみげてくる。

     ナオコは不思議ふしぎそうに

     「おもしろいはなしだったから、わらったんだよ。それだけ。ゆるすとか、ゆるさないとか、そんなことかんがえていないよ」

     はなえ、どうしちゃったの、とやさしくうナオコのこえとおのく。

     + + + +

     『王妃おうひ帰還きかん』でも、クラスの「王妃おうひ」の滝沢たきざわさんが、ハブられます。主人公しゅじんこうおんなは、滝沢たきざわさんといっしょにごすようになりますが、滝沢たきざわさんが、自分じぶん仲間なかまはずれにしたひとたちのことをわるわないことに、戸惑とまどいます。

     みながらナオコのことをおもしました。ながされず、じこもらず、自分じぶんうしなわないおんな

     そんなひとが、自分じぶん大切たいせつ友達ともだちだったことは、わたしのちいさな自慢じまんなのです。


    王妃おうひ帰還きかん

    柚木麻子ゆずきあさこちょ

    実業之日本社文庫じつぎょうのにほんしゃぶんこ 600えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

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