メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

 中学ちゅうがく年生ねんせいころ、クラスで「ハブり」がはやっていた。リーダーは、ユカだ。はなしがうまくて、人気者にんきもの彼女かのじょ悪口わるぐちわれたひとは、たちまちハブられることになるのだった。

     2学期がっきはいると、わたしのばんになった。2週間しゅうかん完全かんぜんにひとりになった。

     1か月後げつごつぎ標的ひょうてきがナオコにまった。

     あたまがよくて、スタイルも抜群ばつぐんで、ちょっとツンとしていて、高級こうきゅうデパートでよくものをしていることから、「ひめ」とばれていたナオコ。いつもユカとナオコはいっしょだった。まさかそのナオコが、ハブられるなんて……。

     初雪はつゆきった学校帰がっこうがえり。もんたところで、背中越せなかごしにこえをかけられた。くと、ナオコがっていた。

     ナオコのつめたいかぜながれるかみなが意志いしつよそうな。こんなちかくでかおるのははじめてだ。

     「一緒いっしょかえらない?」

     みみうたがった。ひめが、わたしと? がるほどうれしかった。

     それ以来いらい、わたしたちはいっしょにごす時間じかんえた。ナオコは可愛かわい文房具ぶんぼうぐやグッズをたくさんおしえてくれた。彼女かのじょは、ハブられても、気高けだかかった。

     そのナオコと、2年生ねんせいになった、クラスがはなれてしまった。

     廊下ろうかされたクラス名簿めいぼかたとしていると、きなれた、たかわらごえこえた。となり教室きょうしつで、ナオコがつくえによりかかって、みんなとになっている。

     その中心ちゅうしんはなしていたのは……ユカだった。おおきくひろげ、だれかのモノマネをしている。

     ナオコはおなかをかかえて、くるしそうにわらっている。

     ユカがはなしにオチをつけ、ゆるやかに女子じょしたちのがほどけた。ナオコはわたしをつけ、ちかづいてくる。

     「ハロー、はなえ」

     「ねえ、いまなに? あのうことに、わらえるの? ……ユカをゆるしたの?」

     裏切うらぎられたようなかなしさがこみげてくる。

     ナオコは不思議ふしぎそうに

     「おもしろいはなしだったから、わらったんだよ。それだけ。ゆるすとか、ゆるさないとか、そんなことかんがえていないよ」

     はなえ、どうしちゃったの、とやさしくうナオコのこえとおのく。

     + + + +

     『王妃おうひ帰還きかん』でも、クラスの「王妃おうひ」の滝沢たきざわさんが、ハブられます。主人公しゅじんこうおんなは、滝沢たきざわさんといっしょにごすようになりますが、滝沢たきざわさんが、自分じぶん仲間なかまはずれにしたひとたちのことをわるわないことに、戸惑とまどいます。

     みながらナオコのことをおもしました。ながされず、じこもらず、自分じぶんうしなわないおんな

     そんなひとが、自分じぶん大切たいせつ友達ともだちだったことは、わたしのちいさな自慢じまんなのです。


    王妃おうひ帰還きかん

    柚木麻子ゆずきあさこちょ

    実業之日本社文庫じつぎょうのにほんしゃぶんこ 600えん


     エッセイストの華恵はなえさんが、ほんにまつわるおもきなほん紹介しょうかいします

    毎日新聞のアカウント

    話題の記事

    アクセスランキング

    毎時01分更新

    1. 藤枝小4切りつけ 「いじめの復讐」 18歳容疑者説明
    2. 野球漫画 「ドカベン」46年で完結 28日発売号で
    3. 殺人 練炭自殺偽装し弟殺害 容疑の姉逮捕 会社後継トラブル 堺
    4. 訃報 B・V・ベイダー氏 63歳・プロレスラー
    5. サッカー日本代表 補欠の浅野が離脱 経験者の香川が激励

    編集部のオススメ記事

    のマークについて

    毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

    [PR]