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魚梁瀬杉

最後の伐採58本 次は20年後

伐採予定の魚梁瀬杉(右)。この木を切ることで左の2本の成長が促進される=高知県馬路村魚梁瀬で2017年9月11日、柴山雄太撮影

 高知の県木に指定されている銘木「魚梁瀬(やなせ)杉」。江戸時代から残るとされる天然杉の伐採事業が、今年度で休止される。計画的に伐採されるのはこれで最後となる巨木を見に、魚梁瀬の山を訪れた。【柴山雄太】

     ■土佐藩が保護

     魚梁瀬杉は高知県馬路村の魚梁瀬地区を中心に分布している。安土桃山時代から良材として知られ、長宗我部元親から豊臣秀吉に献上されていたという。

     江戸時代に入ってからも、魚梁瀬地区の山は土佐藩の「御留山」として保護・管理され、幕府に献上された。現在残っている巨木は、この頃切られた杉の二代目と考えられており、推定樹齢は平均250年だという。

     その後、大正、昭和にかけ、鉄道、自動車と運搬手段を変えながら日本の木材需要に応えてきた。魚梁瀬杉は木目の美しさが特徴で、柱や天井板などに珍重されている。

     ■大木切って成長促進

     四国森林管理局(高知市)では、天然杉のうち、胸の高さで直径が90センチ以上の物を大径木と定義している。天然の大径木は資源の減少から、2015年3月、有識者会議での検討を経て、今年を最後に計画的な伐採を休止することにした。今年の伐採は、他の樹木の成長を促進するための間伐で、大径木の密度が高い国有林の9・25ヘクタールを対象に、直径80センチ以上の58本を切る。9月中旬から伐採を開始し、2カ月乾燥させた後、ヘリコプターで山から運ぶ予定だ。

     ■直径80センチ以上の切り株

    魚梁瀬杉の切り株=高知県馬路村魚梁瀬で2017年9月11日、柴山雄太撮影

     今月中旬、森林管理局の職員と魚梁瀬の森を訪ねた。魚梁瀬地区の中心部から車で約20分。林道に車を止め、山の中を歩く。山のあちこちに、他の植林地とは違う、立派な杉の木が見えた。

     さらに登ると、直径80センチ以上ある大きな切り株が現れた。かつて伐採された跡だという。切り株から登ること約10分。伐採予定の木に行き着く。胸の高さで直径1・2メートル、高さは37メートル。その根元からは2本の杉が伸びている。元々別に生えていた杉を、伐採予定の杉が巻き込んだとみられるという。

     2本が受ける日光は現在、木の上に何も無い場合の2割程度しか無いため、成長が阻害されている。大木を切ることで、残る2本の成長が促進される。

     ■技術の継承課題

     今回、伐採が休止されることで今後、大径木の供給はしばらく無くなる。人工林の杉が直径50センチ以上になる樹齢130年を迎えるまで、20年ほど残っているという。

     それまでの間は天災に遭った木や、弱った木、文化財などの需要があった場合にのみ、大きな天然杉が切られることになる。この20年間に大径木の伐採技術をどう継承していくかは、今後の課題だという。

     今回の58本は、特に用途が定まっておらず、高知市内の木材市場に出荷される。伐採を担当する同局の吉良康・企画官は「実際のところ、どれくらい需要があるかは分からない」としつつも「後世に残る物に使われてほしい。魚梁瀬杉が全国の寺社仏閣や文化財に使われたらうれしいですね」と期待していた。

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