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赤ちゃんハテナ箱

夜泣きをやめさせるには

並んで昼寝をする生後3カ月の赤ちゃん=坂根真理撮影

 子供の夜泣きに悩んでいる人もいるのでは? 眠りたいのを我慢し、あの手この手で泣きわめく我が子をあやす日々は想像を絶する。我が子の夜泣きに苦しんだ経験をもつ睡眠の専門家に、夜泣きの治し方を聞いてみた。

     「夜泣きは5日で治りました」。そう話すのは、NPO法人「赤ちゃんの眠り研究所」代表理事の清水悦子さんだ。清水さんは長女(9)の子育て中に大変な夜泣きを経験したが、ある方法を試したところ夜泣きが治まり、経験を役立てようと保育士資格を取得し、NPOを作った。ワークショップや講座を各地で開催し、子供の睡眠に悩む多くの母親にアドバイスする。その傍ら、東京大大学院に進学し、乳児の睡眠について研究に励む日々を送る。

     夜泣きは生後6カ月ごろからひどくなると言われている。清水さんが長女の夜泣きに悩まされるようになったのは、まさしく生後6カ月ごろからだった。

     1時間ごとに夜泣きをするようになり、いくら母乳を与えても泣きやまなかった。2時間以上泣き続けたこともあるといい、清水さんは「地獄でした」と当時を振り返る。その後も夜泣きは改善されず、育児に対する自信を失い「母親失格だ」と自分を責める日々が続いた。

     どうにかして夜泣きを治す方法はないかと、育児本や医学的な論文を読みあさった清水さん。夜泣きの原因は、暑さや寒さ、日中の興奮、歯が生えてきたことなど、ちょっとした変化が引き起こすものだと考えられていたが、図書館で見つけた保育の専門雑誌に「睡眠の発達の遅れが夜泣きと関連している」とあり、ハッとした。

     それまで、長女を午後10時に寝かせ、午前10時に長女と共に起きる生活を続けていた。夜型生活が赤ちゃんの睡眠リズムを不安定にさせ、夜泣きにつながることが分かった。その日から午後7時に寝かせて午前7時に起こす朝型生活に変えたところ、わずか5日で夜泣きはなくなった。

     清水さんは「早寝早起きが嫌いでしたが、朝型の生活をしてから育児がとても楽になった」と笑顔を見せる。

     子供の睡眠に詳しい兵庫県立リハビリテーション中央病院・子どもの睡眠と発達医療センター前センター長の三池輝久さん(小児科医)は「睡眠は脳を作る重要な時間。ないがしろにしてはいけない」と警鐘を鳴らす。日本の乳幼児の就寝時間は午後10時以降が多く、ヨーロッパと比べると夜更かしをしている割合が高いという。朝になると目を覚まし、夜になると眠くなる「概日リズム」を作り出す体内時計は、2歳ごろまでに出来上がるとされる。

     体内時計を形成するために必要なことを清水さんに聞くと「朝と昼は明るくにぎやかに、夜は暗く静かな環境で過ごすことが大事です」という言葉が返ってきた。照明技術が発達し、昔と違って今は夜になっても部屋の中は明るい。夜遅くまで明るい部屋にいると、赤ちゃんはいつが夜で昼なのかが分からなくなり、体内時計がうまく機能せず、“時差ボケ”のような状態になってしまうという。

     生活リズムを改善しても夜泣きが治まらない場合は、寝かしつけの方法を見直したい。夜泣きをしたとき、赤ちゃんを泣きやませようと、ドライブに連れ出す▽抱っこをしてあやす▽遊ばせる――など、どうにかして泣きやませようと親はあれこれと試してしまうが、清水さんは「泣こうがどうしようが、同じ方法で寝かしつけることが重要」と力説する。

     相手にしないで眠ったふりをする▽手触りのいいタオルやぬいぐるみなど“安眠グッズ”を用意する▽おなかや背中をトントンと一定のリズムで軽くたたく▽手をつないだり、おなかの上に手をのせたり――などから一つの方法で寝かしつけを続けると、自分の力で眠るようになるというから驚きだ。

     寝かせる30分前に「いちゃいちゃタイム」を作るのもいい。赤ちゃんが心地よく眠るためには「安心感」が欠かせない。薄暗くした部屋で、いつもよりワントーン低い声で絵本を読み聞かせる▽優しくゆっくりと語りかける▽子供の良かった行動を具体的に伝える--などで、日中の興奮が静まり、寝る準備が整うようだ。

     取材をしていて一番驚いたのは、「寝言泣き」という現象があることだ。赤ちゃんはまだしゃべれないので寝言は言葉ではなく泣き声になる。何かを要求して泣いているわけではないので、2~3分ほど放っておくと自然に眠る場合もあるという。清水さんは「泣いているからといって、泣きやませようと起こしたりしないで」とアドバイスする。

     下坂えりこさん=東京都足立区=は長男(3)を出産後、いつか始まる夜泣きに備えて清水さんが講師を務める講座に参加した。講座に参加する前は、午後10時に長男を寝かせる生活を送っていたが、科学的根拠に基づいた睡眠のメカニズムなどを学んだその日から、午後8時には寝かせるように努力を重ねた。「おかげで夜泣きはなかったですし、お昼寝も決まった時間にしてくれるので一日の予定が立てやすい。育児がすごく楽になりました」と目を細めた。

     清水さんは「赤ちゃんにとって睡眠はとても大事なので、だまされたと思ってまずは午後8時までに寝かせてみてほしい」と話した。【生活報道部・坂根真理】

    赤ちゃんの体内時計を狂わせる生活

    ・午前8時を過ぎても起こさないで、寝かせたままにしている

    ・親の時間に合わせて、午後9時以降に寝かせている

    ・夕方から寝るまで、ずっと明るい部屋にいる

    ・夜に眠った後も、テレビや明かりのついたリビングにいる

    ・夜遅くにお風呂に入れている

    ・外出が少なく、日当たりの悪い部屋に一日中いることが多い

    ・夜泣き対策で、夜中のドライブやDVD鑑賞、電気をつけて遊ぶなどしている

    ・携帯電話をいじりながら寝かしつけをしている

    ※一つでもあてはまったら、生活を改善した方が良い

    ※清水さんの著書「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」から抜粋


     さかね・まり 2008年入社。岡山支局在籍中に2人の子供を出産した。地方部を経て、16年から生活報道部。子育ての話題や虐待問題を取材している。

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