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武田 砂鉄・評『ヨコハマメリー』中村高寛・著

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背負わされた戦後史と奪われた「場所」の記憶

◆『ヨコハマメリー かつて白化粧の老娼婦がいた』中村高寛(たかゆき)・著(河出書房新社/税別2200円)

 猥雑(わいざつ)だと睨(にら)まれた街が根こそぎ浄化されていく。その動きは来る東京五輪に向けて、更に強まっていくのだろう。しかし、街の浄化とは、つまるところ、人を追い払うことだ。「おまえ、出ていけ」と命じることだ。

 「歌舞伎役者のようなメイクに全身真っ白の洋服を身にまとった」老娼婦のメリーさん。横浜の中心街に立つメリーさんを撮り続けた写真家の森日出夫は、彼女について「メリーさんって町の風景なんだよね」「町のどこどこに大きな木があって、その木を皆が知っていて、それによって町が形作られている」ような存在だった、と振り返る。

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