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サンマ不漁

原因は台湾や中国の乱獲? 日本漁法に問題は

岩手県大船渡市の市魚市場に水揚げされたサンマ=2017年8月30日、三股智子撮影

 秋の味覚のサンマが心配だ。3年連続で不漁が見込まれ、宮城県気仙沼市では秋の風物詩「サンマまつり」が中止に追い込まれた。7月に当時の山本有二農相が、外国漁船の公海でのサンマ漁について「想像を絶する異常な漁獲」と発言。不漁の原因を台湾や中国の乱獲に帰す声もある。何が起きているのか。【三股智子】

 数千匹を無料で振る舞う気仙沼の祭りは今年は10日の予定だったが、確保の見通しが立たず中止となった。気仙沼漁協で先月23日の初水揚げ以降の漁獲は前年比約2割減。漁協関係者は「漁場が遠くなった」と嘆く。

 東京の築地市場によると9月第1週の1日平均入荷量は64.7トンで、昨年同期比34%減。価格の中心は1キロ907円と同12%増で高値傾向だ。1匹の平均重量は約133グラムで昨年の約148グラムに比べやせているという。

    ◇

 サンマは北の海から産卵で夏から秋に南下し、一部が日本に近づき漁の対象となる。資源量(総量)は不明だが、日本に近づく来遊量は、国立研究開発法人「水産研究・教育機構」によると、ここ10年は減少傾向で今年は昨年のほぼ半分の86万トンに落ち込むとみられる。

 不漁が続く原因について、東京海洋大の勝川俊雄准教授は「温暖化でサンマの回遊ルートが変化し、これに日本の漁法が対応できない」と分析する。サンマは寒流の親潮に乗って日本沿岸を南下し、暖かい黒潮とぶつかる場所が漁場となる。だが近年は北海道近くまで暖かい水が覆い、漁場が東の沖合へ遠ざかる傾向にあるという。

 日本のサンマ漁は沿岸に近づく群れを小型船で待ち受け、漁場と港を往復する。船の漁獲能力は高いが冷凍設備はなく、漁場が遠ざかるほど影響が大きくなるという。

 一方、小型船ではカバーできない日本の排他的経済水域(EEZ)の外の公海で近年、大型外国漁船のサンマ漁が盛んだ。1980年代に韓国と台湾、2012年には中国が参入。特に台湾が漁獲量を伸ばし、13年に初めて日本を上回った。大型船内ではサンマの箱詰め・冷凍ができ、輸送船に積み替え、漁船自体は港に戻る必要がないため回遊コースの変化に対応できる。

    ◇

 こうした状況を懸念する政府は7月、「サンマの資源管理」を大義名分に中国や台湾、ロシアなどに国別の漁獲枠の新設を提案。中国に実績を下回る枠を求めるなど他国に厳しい内容で同意は得られなかった。冒頭の「異常な漁獲」との農相発言は交渉直前に出た。それを受けて、中国や台湾にサンマが奪われると危機感をあおるような報道もあった。

 だが、東京海洋大の勝川さんは「サンマ漁獲量の減少に対する外国漁船の影響は限定的だ。そもそもサンマは国際資源で、日本に漁獲の優先権があるわけではない」と言う。実際、日本や台湾などによる漁獲総量は最大でも来遊量の25%で、資源の大幅な減少につながるとは考えにくい。

 それでもサンマの資源管理は必要だ--と勝川さんは言う。日本の漁業で過去、数々の水産資源が危機にひんしてきた。サンマも各国が漁獲を競えば乱獲になるのは時間の問題だ。勝川さんは「粘り強い国際交渉が必要だ」と話す。

 【ことば】サンマ

 北太平洋に広く分布し、数百万から数億の大集団で回遊する。寿命は2年ほど。日本人は江戸時代から好んで食べ、中国などでも人気魚種となっている。魚の多くは胃や腸を備えるがサンマには真っすぐで細く短い消化管しかなく、エサをごく短時間で排せつする。このためワタ(内臓)を美味として好む人もいる。

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