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いま浅草が“中国人着物女子”の“聖地”に!?
季節もすっかり秋になりましたね。秋といえば“読書の秋”、“スポーツの秋”、“芸術の秋”……私にとっては“食欲の秋”でもあります。冗談はさておき、紅葉など風景も美しくなる秋は、旅をするのにももってこいの季節です。私も旅が大好き。よく、お仕事の合間を縫ってふらりと日本国内や海外を旅しています。
中国でも、いま“日本観光”がブーム。かつての“爆買い”ばかりでなく、最近では若者や中間層を中心に“個人旅行”が人気を集めています。その実態を確かめるべく早速調査を行いました。その結果、東京・浅草の浅草寺の近くに、2年前にオープンした人気の“着物のレンタルショップ”があることが分かりました。お店の名前は「江戸和装工房 雅(みやび)」。このお店では着物をレンタルするだけでなく、資格を持つ日本人の着付け師が、2000着を超える本格的な和服を、手ごろな値段で着付けてくれます。お客さんの9割が中国人で、常に予約が途切れず、“中国人着物女子”の間では“聖地”のような場所だということも分かりました。そこで私、段文凝がリポーターとして現場に取材に行ってきました。今回はその模様をお伝えします!

突撃インタビュー! ショッピングより“日本文化の体験”がしたい女の子たち
時刻はお昼の午後1時ごろ。お店に入ると、中国から来たという2人連れの女子大生、謝さんと康さんに出会いました。早速お話を聞いてみました。
段「こんにちは!どこからいらっしゃったんですか?」
謝さん(以下、謝)「中国の深圳(しんせん)です。1週間の旅行で来ました」
段「わぁ~良いですね!どうしてこのお店に来たんですか?」
康さん(以下、康)「一度、和服が着てみたかったんです。とても奇麗だから」
段「いろいろな柄や色があって選ぶのも楽しいでしょう。着物を着るのは初めてですか?」
謝「浴衣は一度着たことがあるけど、本格的な和服は初めてです」
康「何枚も重ね着をするので、ちょっと暑いです(笑い)」
段「分かります(笑い)。ショッピングはしましたか?」
謝「日本のものはネットでも買えますから。それよりも日本の本物の文化を体験したいなと思って」
段「確かにそうですよね。東京のほかにはどこかに行きましたか?」
康「鎌倉でアニメ・スラムダンクの聖地に行きました! あと富士山を見に行って、三鷹の森ジブリ美術館にも行きました」
段「いろいろ行きましたね! 日本に来て日本人に対してどんな印象を持ちましたか?」
謝「とても礼儀正しくて優しいです。あと美男美女が多くて、みんな鼻が高いです」
康「でもホテルの部屋は狭いです……」
3人「(笑い)」

“お金で買えないもの”にこそ価値がある? 私が思う日本の魅力
今回お話を聞いてみて改めて、個人旅行で来日する中国人観光客の方の多くが“文化体験”を重視しているのが分かりました。中国ではネット通販サイトや、“代购(ダイゴウ)”という、海外の商品を現地に住む人が代わりに購入してくれるサービスなどがとても発達していて、今や中国にいても、日本のものは何でも手に入ります。それでも“文化体験”だけは、国外に出なければ味わうことができません。そうした“お金では買えないものの価値”に、多くの人が目を向けるようになってきているのだと感じました。
彼女たちが味わいたいと思う日本の“文化”は、日本人のあなたにとっては、ごく当たり前のものなのかもしれません。着物を着て街を歩く女性や、春のお花見。夏に行われる花火大会。秋の紅葉狩りに、浅草や鎌倉の神社仏閣。茶道や生け花のお稽古(けいこ)。1年を通じて繰り返され、いつも決まった場所に行けば必ず出会え、体験できる。それは決して当たり前のことではないと、私は思います。文化を受け継ぎ、それを愛し、守っている人がいるからこそ、時代を超えて“当たり前”になっているのです。

今回、私も久しぶりに和服に袖を通してみました。日本に来て8年になり、だいぶ日本に慣れてきた私ですが、和服を着るとそのたびに不思議と気持ちが落ち着き、歩き方やしぐさまでもが変わるような気がします。本物の“文化”の魅力は、一度でも体験すれば心が忘れず、いつも新鮮な感動を与えてくれます。
次回は、今回取材のためにお邪魔した「江戸和装工房 雅」で営業本部 市場開発部長 を務める孫為楽(そん・いらく)さんに、日本を代表する文化である着物の魅力と、孫さんが着物を通じて中国人に伝えようとしていることについて、私、段文凝がお聞きします。どうぞ、お楽しみに!