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社説

原子力規制委が新体制へ 「福島の教訓」を忘れずに

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 東京電力福島第1原発事故を防げなかった反省から設置された原子力規制委員会の新委員長に、更田豊志(ふけたとよし)委員長代理が昇格した。

     規制委は発足5年を迎えたが、国民の多くが原発再稼働に今も反対するなど、原子力規制行政への信頼が回復したとは言い難い状況にある。

     更田氏は就任会見で「福島に対する思いを持ち続け、最善を尽くす」と述べた。その言葉を忘れずに、規制行政の強化に取り組んでほしい。

     規制委は、田中俊一前委員長の下で地震や津波対策などを強化した新規制基準を策定し、委員会での議論を原則公開した。これが規制委の透明性を高め、外部からの干渉排除につながったことは確かだ。

     ただ、議論や情報の公開だけでは不十分だ。規制委が、自ら下した判断の理由を分かりやすく説明できなければ、国民の信頼は得られない。

     東電柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査を巡る対応はその好例だ。

     規制委は「安全性確保を最優先する」などとした東電社長の決意表明を、同原発の保安規定に書き込ませることにした。違反があれば運転停止なども命令できるという。

     しかし、どのような尺度で「東電の決意」を評価するのか。規制委による説明はなされていない。

     規制委は委員5人で構成されている。現在、地震の専門家はいない。限られた人数で規制行政全般をカバーするのは難しい。外部の専門家の指摘や意見を上手にくみ上げる体制の構築も、今後の課題だ。

     更田氏は柏崎刈羽原発の審査で今月、「他の事業者でも福島第1原発事故は防げたとは考えにくい」と述べた。新たに委員となった山中伸介・前大阪大副学長は就任前の記者会見で、原発の40年廃炉原則を否定するかのような発言をした。

     対策をとっても原発事故は起き得る。「福島の教訓」だ。両氏の発言を聞き、その教訓が風化していると感じた国民も多かったろう。

     田中氏は退任会見で「原子力のあり方を国会で深く議論してほしい」と、国に注文をつけた。規制委の審査合格は、原発再稼働のお墨付きではないとの思いがにじむ。

     重大な事故リスクをはらむ原発を使い続けるのか。規制行政の強化とは別に、改めて議論が必要だ。

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