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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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「永田町には猛獣や珍獣、それにタヌキもいらっしゃると聞いたので」…

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 「永田町には猛獣や珍獣、それにタヌキもいらっしゃると聞いたので」。1992年、国会に初登院した小池百合子(こいけ・ゆりこ)氏はグリーンのサファリジャケットにヒョウ柄のミニスカートという服装をそう説明した▲細川護熙(ほそかわ・もりひろ)氏率いる日本新党の新人だった小池氏だが、政界は翌年、非自民の諸政党を糾合した細川連立政権により55年体制といわれた自民党長期政権を終わらせた。保守2党の政権交代可能な政治への政界再編が説かれた当時だった▲四半世紀後、自ら乗り出した永田町サファリでは民進党を丸ごと仕留めた小池氏だ。新党で「日本をリセットする」と宣言した時、脳裏には細川政権樹立当時の光景が浮かんでいなかったか。ともあれ一変した衆院選挙の構図である▲「国難突破解散」と称し永田町サファリの先手をうったはずの安倍晋三(あべ・しんぞう)首相には握っていた主導権がするりと手から抜け落ちた感じか。野党再編のめまぐるしい動きと、それが巻き起こす風の前では受け身を強いられるはめとなった▲とはいえ選挙が優先、政策は後からついてくる野党再編には、解散の大義を問われた首相も突っ込みを入れたかろう。思えば90年代からの政界再編が今日のような結果になったのも、政策の対立軸に沿った再編に失敗したからだった▲経済グローバリズムが民主主義諸国の政党政治の枠組みを壊していく現代である。与野党には永田町サファリの腕前を競うより、時代に即した選択肢を国民に示し、論議を尽くしてもらわねばならない衆院選だ。

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