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第49回衆院選

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日本の岐路 北朝鮮情勢と衆院選 争点化の必要があるのか

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 今回の衆院解散・総選挙の特徴は、安倍晋三首相が北朝鮮情勢を社会保障問題と並ぶ「国難」と位置付け、「国難突破解散」と呼んだことである。

 首相は「こういう時期にこそ、選挙で北朝鮮問題への対応について国民に問いたい」と語った。

 確かに北朝鮮の最近の軍事的な挑発は看過できない。

 8月と9月に日本上空を通過する弾道ミサイルを相次いで発射し、政府は住民に避難を呼びかけた。9月には6回目の核実験を強行し、「水爆」実験の成功だと主張した。

 緊迫した情勢が続き、日本や世界を不安に陥れているのは疑いようがない。

与野党の違いは小さい

 では、こうしたなかで、首相は北朝鮮問題の何を問うのか。

 核実験に対し、国連安全保障理事会は石油供給制限を含む厳しい制裁決議を全会一致で採択した。

 日本国内でも与野党が制裁の完全履行などを求める声明を出した。北朝鮮に厳しい態度で臨むことでは各党とも大きな違いはない。

 首相が圧力路線に重心を置くのに対し、民進党は「冷静な外交力」を求め、共産党は対話重視という温度差はあろう。

 しかし、「圧力と対話」は相互に補完する関係にある。そのバランスをどう取るかは論点だとしても、二者択一ではないはずだ。

 圧力は対話を引き出すための手段である。にもかかわらず、首相は対話路線を否定し、対立軸を無理に作り出そうとしているようにみえる。

 それを争点とし国民に選択を迫るなら、世論の分裂を促しかねない。

 むしろ、首相には、北朝鮮情勢を踏み台にし、危機に強い姿勢で臨む自らの指導力をアピールする狙いがあるのではないか。

 安倍政権は2年前に安全保障関連法を成立させた。従来の憲法解釈を強引に変えて集団的自衛権行使を限定容認し、野党が反対して国論は二分した。

 政府は安保法制によって北朝鮮をにらんだ米艦防護を実施し日米連携がより強まったと主張する。しかし、活動は公表されておらず、国民は判断のしようがない。

 首相には、選挙で勝利すれば安保法制への国民の信任は得られたと言ってフリーハンドで防衛政策に取り組めるという読みがあるのだろう。

 自民党内には敵基地攻撃能力を保有すべきだとの意見がある。憲法解釈では「自衛の範囲内」とされるが、攻撃的な装備体系が必要になり、いまの自衛隊にはハードルが高い。

 さらに、首相の目標である憲法改正を有利に進めたいという計算もあるとみられる。

 首相は9条に自衛隊を明記したいと表明した。解散表明後には「北朝鮮がこういう状況で自衛隊は最前線で頑張っている」と語っている。

 しかし、9条改憲によって自衛隊の活動を広げようとしているのではないかという疑念も同時に生む。

不安をあおる「国難」

 衆院を解散し、北朝鮮問題を選挙の争点にする背景にこうした狙いがあるとすれば、危機の政治利用とみられても仕方がない。

 首相は「民主主義の原点である選挙が北朝鮮の脅かしによって左右されてはならない」と言う。

 だが、衆院解散は首相の判断であり、北朝鮮の「脅かし」を持ち出してくる理屈がわからない。

 外交は内閣が持つ権限である。首相が北朝鮮情勢を「国難」というなら、政府が超党派の理解を得て外交を推進するのが筋だ。

 北朝鮮の脅威に対抗するため、圧力路線をテコにどういう外交政策を展開するのか。首相はその具体策を国民に提示すべきだ。

 圧力強化は緊張をより高める副作用がある。米朝間での挑発の応酬は激烈を極めている。

 偶発的な軍事衝突をどう避けるのかや、圧力路線の先に描く対話にどう結びつけるのか、などを議論すべきではないか。

 外交・安保政策は幅広い国民の支持が必要だ。違いを際立たせようとするのではなく、一致点を広げる努力が外交政策を進めていくうえでは欠かせない。

 「国難」とは国家の存亡にかかわる危機のことだ。まるで開戦前夜のような、きな臭さを感じさせる。

 こうしたときこそ、国民の不安をあおるのではなく、現実的な論戦を求めたい。

【第49回衆院選】

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