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現場が見えていますか

’17衆院選/上 貧困と子育て 手薄な支援、政治遠く /和歌山

買い物を済ませ、子供の待つ自宅へ急ぐ40代女性=和歌山市内で、阿部弘賢撮影

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 「大切さは分かるが、本当にいま選挙をする必要があるの。実施するにもたくさんのお金がかかる。その分を子供たちのために使えないのって思う」

     和歌山市内で事務職として働く40代女性は任期を1年以上残しての衆院解散に疑問を感じている。

     高校生の長男と中学生の長女を育てているシングルマザー。元夫のDV(ドメスティック・バイオレンス)が原因で、10年以上前に県外から縁もゆかりもない和歌山に引っ越してきた。

     当時は幼い長男・長女を抱えながら、パートで働いたが給料は月額10万円以下。年末年始や子供の病気などで働ける日が少ない時期は手取りが月2万~3万円ということさえあった。

     食事はいつもご飯と納豆とみそ汁だけだった。「スーパーの見切り品をさらに安く譲ってもらって何とか生きてきた」と振り返る。

     子供が熱を出して保育所から迎えに来るよう連絡が入っても、仕事を失わないためには、自分の時給よりも料金が高い保育サービスに頼らざるを得なかった。

     正社員になった今も厳しい生活は変わらない。給料が増えても、それに応じて行政からの諸手当が減額され、収入総額は大幅には増えにくいためだ。

     数年前には長女の自閉症が分かり、近所の学校にも通えなくなった。子育てにはお金も人手も必要だが、両親や親戚もいない土地で日々の暮らしを支えてくれたのは周りの友人や近所の人たちだった。

     「『助けて』と自ら声を上げられる人でなければ、行政も支援してくれない」と公的な支援を受けるためのハードルも感じている。

     日々、10円でも節約しようと頭を悩ませている中、億単位のカネの話が飛び交う政治の世界は遠い存在だ。それでも、「今のしんどい状況が変わったらいいなって思うから、小さな1票でも必ず投票する。全ての子供が幸せになってほしいから」と政治への望みを託す。

       □   □

     1歳7カ月の長女を育てる和歌山市内の主婦(29)は「政治には何も期待していない」と言う。就職氷河期やリーマンショック……。生まれてから一度も「いい時代」を経験していないという思いは強く、将来への期待も持てないままだ。

     「どの政党も急に『子育て』って言い始めたけど、(匿名ブログの)『保育園落ちた』のこともあって票に影響すると思ったのでは」といぶかる。

     現在、第2子を妊娠中で出産を間近に控える。日々の育児や家事に追われ、ニュースを見る時間はほとんどない。「結局、政治家はみんな一緒。投票しても生活は何も変わらないと思うから、今度の選挙はたぶん行かない」【阿部弘賢】

         ◇

     10日公示、22日投開票の衆院選は対決の構図がほぼ固まった。一方で、政策論争が十分に深まっているとは言えない。衆院選の主要テーマを3回にわたって現場から掘り下げる。


    増税分、首相「幼児教育に」

     安倍晋三首相は、消費税率10%への引き上げ(2019年10月予定)に伴う増収分の使途を、国の借金返済から幼児教育無償化などに変更すると表明した。3~5歳児の幼稚園・保育所の費用無償化や、低所得世帯の0~2歳児の無償化などを掲げている。「国民生活に関わる重い決断を行う以上、速やかに国民の信を問わなければならない」とし、衆院解散・総選挙に打って出た。

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