メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

AV問題

第三者機関が報告会 作品削除ルールなど設定

報告会を開催した「AV業界改革推進有識者委員会」のメンバー=東京都内で2017年10月4日、中嶋真希撮影

 アダルトビデオ(AV)への出演強要が問題視されていることを受け、今年4月に発足した第三者機関「AV業界改革推進有識者委員会」が半年間の調査を終え、東京都内で4日、報告会を実施した。出演強要を防ぐ仕組み作りとして、メーカーやプロダクションが守るべき新ルールが来年1月から実施されることを発表。改善策として、共通契約書の使用や、作品に5年間の使用期限を設けることなどを盛り込んだ。【中嶋真希】

 昨春、人権団体ヒューマンライツ・ナウが被害の報告書を発表後、取りざたされるようになった強要問題。被害者の支援に取り組む複数の人権団体が、スカウトされた女性がAVと知らずにプロダクションと契約したり、契約後にAV出演を拒否すると違約金を求められたりした例を報告している。

 こうした被害を防ごうと、AV業界の要請で設立されたのが同委員会だ。「芸術と法」が専門の志田陽子・武蔵野美術大教授が代表委員を務め、ほかに、表現の自由問題に詳しい山口貴士弁護士ら3人が委員を務める。委員会が定めたルールを守って制作した作品を「適正AV」と定め、適正AVが守るべき規則を提案してきた。

新ルールは10項目

 報告会では、新たに適正AVが守るべき10項目の新システムが発表された。同委員会はメーカーやプロダクションへのアンケート調査、引退した元女優への聞き取りを行い、来年1月から実施する契約書などに関する新ルールを設定。その中で強要問題に大きな影響を与えそうなのが、共通契約書と第三者意思確認書だ。

 これまで、女優に渡される契約書の中には、AVに出演することを明確に伝えない、あいまいな内容のものもあった。今後は、AV出演であることが分かる契約書を使い、さらに女優に出演したいという意思があるかどうかを第三者が確認する。意思の確認は、元女優の川奈まり子さんが出演者を守るために設立した「表現者ネットワーク(AVAN)」が担う。

 また、一度撮影すれば永久に作品が残り、何度も再編集されてオムニバス版が販売され、引退後もインターネットで配信され続ける現状を変えようと、作品使用期間を5年に設定。今後は、5年が過ぎて女優がメーカーと再び契約をしなければ、作品は配信されなくなる。

 ほかにも、発売した作品を再編集した別の作品を売る場合には、2次使用料を女優に支払う▽プロダクションは出演料を開示する▽相談窓口の設置--などをルール化した。法的な強制力はないが、従わなければ、同委員会の定める「適正AV」からは外れ、業界団体であるNPO法人知的財産振興協会(IPPA)から脱退させられるなどのペナルティーがある。

 志田代表委員は「法律家が考えたルールを現場に浸透させるにはどうしたらいいかを考えてきた。手放しで浸透するわけではない。さらなる尽力が必要。一層の見守りをしていきたい」と話す。また、委員の一人で犯罪学が専門の河合幹雄・桐蔭横浜大教授は、「契約を細かく丁寧にやっていくと、『面倒だから簡単なほうがいい』と違法な作品に出演者が流れてしまう懸念もある。しかし、適正AVなら5年で作品が消えるということがより広く伝われば、『それなら適正AVのほうがいい』と考えてもらえるのでは」と話す。

現場への浸透が課題

 「着実に前進しているが、まだまだ当事者に届いていない。完成度は8割」と山口弁護士は言う。第三者による意思確認についても、年間数千人がデビューすると言われているAV女優全員の意思をAVANが一人一人確認することは不可能だ。川奈さんは、「AVの撮影で行われることが一目で分かるような表を作って、読んで理解したら送り返してもらうなど、方法を考えているところ。人員が少ないが、やれることをやっていきたい」と話す。具体的な方法は、来年1月までに決める予定だ。

 強要問題の改善に取り組むよう業界に訴え続けている現役のAV男優、辻丸さんも報告会に参加していた。「5年で作品が配信されなくなることや、相談窓口ができることなど、新ルールの内容は評価できる」とした上で、「現場で実行されるのかどうかが課題。メーカーへの聞き取りだけでなく、現場の声や意見を聞いてほしかった。委員会には、現場を視察して、AVとは何かを知ってほしかった」と話していた。

毎日新聞のアカウント

話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 骨折 自分の骨で固定し治療 手術中ねじに加工 島根大
  2. 重過失致死 スマホ自転車、死亡事故 女子大生書類送検へ 神奈川県警
  3. JR東海 L特急名称廃止 来春のダイヤ改正で表記消える
  4. 世田谷一家殺害17年 遺族ら動画作成、無念伝える
  5. 富岡八幡宮死傷 超格差社会? 神社を巡る意外な事情

編集部のオススメ記事

のマークについて

毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです

[PR]