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名作の現場

第31回 芥川龍之介『歯車』 案内人・島田雅彦(その2止)

 ストリントベルグの『伝説』に目を通しては、「僕」の経験と大差ないことに気づいたり、別の本に目鼻のある歯車ばかり並べた挿絵を見つけたり、『マダム・ボヴァリイ』を立ち読みしては、ムッシュウ・ボヴァリイは自分のことだと感じる。

 こうして膨大な読書量に裏打ちされていた作家としての自信は自嘲に変わってゆく。自らの血肉となった文豪の諸作品と疎遠になると同時に、発狂した母親の遺伝的影響も強迫観念も作用し、絶望は深まり、自己否定の極みへと向かう。

 「僕」が若い頃から見ていた幻覚としての歯車は、現実のイメージと連動して回り、「僕」を確実に死へと誘…

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