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内田麻理香・評 『魅了されたニューロン…』=P・ブーレーズ、J=P・シャンジュー、P・マヌリ著

 ◆『魅了されたニューロン 脳と音楽をめぐる対話』(法政大学出版局・3888円)

 音楽と科学の惚(ほ)れ惚(ぼ)れとする邂逅(かいこう)を目の当たりにした。異分野の専門家同士の対話はそれだけで興味深い内容になるが、ときに双方が専門の殻から抜け出すことなく、自らの見解を述べるだけの結果に終わることがある。本書は作曲家であり指揮者でもあるブーレーズと、神経生物学者のシャンジューの対話であるが、それぞれためらいなく互いの専門分野に入り込む「お手合わせ」の様相を見せている。それもそのはず。ブーレーズは科学的視点を取り入れて、新しい音楽制作の展開を目的とするフランス国立音響音楽研究所(IRCAM)を組織した人物で、理詰めで現代音楽に対峙(たいじ)してきた巨匠だ。シャンジューは単なる音楽好きの科学者ではなく、一時期、作曲を習っていたこともある筋金入り。その二人の緊張感の走るやりとりの橋渡しをするのが、IRCAMの活動に早い時期から関わり、ブーレーズと父子的な関係を築いている作曲家、マヌリである。共通の言語と文脈を有する三人だからこそ、刺激的な話題が展開されるのだ。

 彼らが鼎談(ていだん)で明らかにしようと目指すのは、作曲家・指揮者が音楽を創造するとき、脳内ではいかなる生物学的プロセスが生じているかということだ。途方もない問いである。そして当然とも言えるが、その話題は「音楽とは」「芸術作品とは」「美とは」という疑問に対し、神経科学で答えを探ることにも繋(つな)がる。

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