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ジャムトースト×築地 河岸の風、感じていたい

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イラスト・佐々木悟郎
イラスト・佐々木悟郎

 外はまだ暗い午前4時。東京・築地市場で喫茶店「岩田」が開店する。間もなくいつもの一番客が訪れる。

 近藤和夫さん(72)は15歳から築地で働く仲卸の社長だ。すでに魚の仕入れを終えた。30年も通っているから、カウンターに座れば黙っていてもアメリカンが出てくる。

 仕入れは真剣勝負だ。魚を見た瞬間に「頭の中のコンピューターをはじく」。長年の経験と知識で目利きをしても、魚をさばいてみるまで本当の良しあしは分からない。「まだ半人前だよ」。タブレットに届く銀座や赤坂のすし屋からの注文を確かめながら、朝のセットを頼んだ。

 トーストは、常連客の好みに合わせて出てくる。焼き加減は「良く焼き」「うす焼き」、切り方は「耳なし」「6等分」といった具合だ。時間に追われる市場の人たちのために、バターやジャムは店員が塗ってくれる。

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