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紙面審ダイジェスト

魚 たくさん食べた方がいいわけではない理由は

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 紙面審査委員会は、編集編成局から独立した組織で、ベテラン記者5人で構成しています。読者の視点に立ち、ニュースの価値判断の妥当性や記事の正確性、分かりやすさ、見出し、レイアウト、写真の適否、文章表現や用字用語の正確性などを審査します。審査対象は、基本的に東京で発行された最終版を基にしています。指摘する内容は毎週「紙面審査週報」にまとめて社員に公開し、毎週金曜日午後、紙面製作に関わる編集編成局の全部長が集まり約1時間、指摘の内容について議論します。ご紹介するのは、その議論の一部です。

<9月29日>

■自民、公明の小池新党批判がニュースでは

 幹事 東京都議会定例会は26日、代表質問が行われた。25日に新党設立と代表就任を発表した小池百合子知事に対し、各会派がどのような発言をするかが注目された。

 本紙27日朝刊社会面は<自・公 都政に終始 代表質問>という観点でまとめていた。記事によると、小池氏と対立する自民の秋田一郎幹事長は、42分間の質問時間を与えられたが、国政進出への批判は「知事の思いが今、この瞬間も別のところにあるのではないかという懸念がぬぐい去れない」との一言のみ。公明党の谷村孝彦幹事長代行も、冒頭で「都政を踏み台にして、他の狙いがあるような報道がなされていることは非常に残念。都民のためにしっかり汗を流すことを強く希望する」と指摘しただけ、民進党の中村洋幹事長も「二足のわらじ」に言及した程度だった。背景には国政進出について追及すれば、都民から「都政に興味がないのか」と逆に批判を受けるとの懸念などがあったという。

 これに対し、朝日社会面は<東京への愛ない 都政に専念を/小池新党批判 次々 都議会>とまとめ、「首都のトップと国政政党の党首を兼ねることに対し、都政の与野党双方から疑問を突きつけられた」と書いた。東京社会面も<二足のわらじ 揺れる都政/小池新党代表 公明「都は踏み台か」 自民「選挙後また辞任」>、産経社会面も<都議会 苦言・批判の声/小池二刀流に「思いはどこ」>だった。一方、日経は東京版に<小池氏の国政新党旗揚げから一夜/公明「都政を踏み台」批判/質疑は「平常モード」>。「小池氏の国政進出に反発し、知事与党から離脱を検討する公明党が知事批判を展開するなど、都政のきしみをうかがわせる場面が見られた。ただ、質問は市場移転問題や五輪準備など従来と同様のテーマが大半。自民党と公明の知事批判は及び腰の様相だった」と書いた。本紙と似たような角度の記事だが、見出しでは公明党の批判を押さえていた。

 都議会で都政の質問をするのは当たり前だが、今回は小池新党について各党・会派がどう言及するかが焦点。本紙もそれをストレートに伝える記事のほうがよかったのではないか。<都政に終始>の見出しは、全く批判や言及がなかったように受け取れる。どのような判断だったのか。紙面審には「本紙の切り口の記事で全く問題ない」との意見もあった。

 司会 社会部。

 社会部長 この記事を見た時に、うちだけトーンが違うので、なぜこうした記事になったのかと疑問に思った。結論から言えば、よく取材した結果こうなったということだ。この情勢で都議会があるので、知事批判が相当出てくるだろうと構えて取材に入った。結果的には肩すかしにあっている。自民も公明も40分以上の質問のうち、冒頭でひと言触れただけで、いずれも答弁も求めなかった。想像していたのと違うなと思い、複数の都議に取材をしている。「逆に国政のことばかり聞けば、自分たちが『都政のことを聞かないのか』と批判されかねない。だから控えた」との話だった。そうした取材に基づいた記事だ。そう聞いているのに、逆に書くのは恣意(しい)的すぎると。ただ、この<終始>という見出しは、全く言わなかったように取られる。見出しについては、センターと交渉して、もう少し考えようがあったのではと思う。

 司会 見出しの話が出たので、センターは。

 編集編成総センター編集部長 <終始>というのは、言葉の使い方として、強すぎるかなとは思う。その日の雰囲気としては及び腰で、有権者が期待したであろう質問もできないという状況を表す意味では、終始とまで踏み込んでよかったのではと思う。原稿の趣旨をくんで、終始という見出しを付けた、ということだ。見出しとして、国政については及び腰だったという感じで付けられれば良かったが、この見出しで間違いというところまではいかないと思う。

 司会 英国特派員経験のある外信部長は。

 外信部長 社会部長の話を聞いていて、新聞の作り方を考えるうえで、非常にいいテーマだと思った。おそらく、頭で作れば、他紙のような報じ方になっていたのではないか。こういう流れで、知事への質問があると考えれば、「二足のわらじを履いていいのか」など批判的に作ろうとおそらくなるはずだ。取材してみて、そうでもないなと思ったら、現実にあった紙面を作って行く方が誠実だと思う。頭で考えて作る記事や見出しでなく、こうした形で作った紙面の方がいいと思う。

 司会 運動部長。

 運動部長 見出しに、逆反応を恐れて、といったニュアンスの言葉が取れればよかった。スペースの関係があるだろうが。内容的には、取材した結果としてだから、これでいい。見出しをもう少し工夫できればよかった。

司会 やはり小池新党批判がニュースだという意見はないか。なさそうなので。

■魚 たくさん食べた方がいいわけではない理由は

 幹事 本紙27日朝刊社会面に<魚たくさん食べる人/うつ病リスク半減/オメガ3脂肪酸 予防効果/がんセンターなど>という記事が掲載された。1181人を25年間追跡調査した研究。「1日当たり摂取量の多い順に4グループに分けると、2番目(中央値111グラム)の集団は最下位(同57グラム)の集団より発症率が56%低かった。最も多く摂取した集団の発症率は26%の低減にとどまるが、他の食材や調理法の影響を受けたとみられるという」とあった。たくさん食べた方がいいというわけではないらしい。読者の関心の高い「食と健康」に関する記事だけに、理由をもう少し詳しく書いてほしかった。「他の食材や調理法の影響」とは何だろう。日経対社記事には「魚をよく食べる人は、野菜てんぷらや野菜炒めも食べがちだ。サラダ油などに含まれる不飽和脂肪酸がn―3系脂肪酸の予防効果を打ち消したのではないか」という調査担当者の推測を載せている。朝日対社記事にも同様の記述があった。これを読むと、「一緒に食べる総菜のサラダ油を控えた方がいいらしい」という教訓が導き出される。研究で証明されたわけではないが、大いに参考になる。食べ方によってはやはり魚をたくさん食べた方がいいのかもしれないが、そこは今後の研究に待ちたい。

 なお、本紙には最上位と3番目のグループの摂取量の記載がないが、日経は「57グラム、84グラム、111グラム、153グラム」と羅列していて、比較の参考になる。また、朝日には「一般的にサバの切り身は80グラム程度、イワシは1匹80~100グラムという」とあり、気配りを感じた。朝日の見出しは<魚1日110グラムでうつ病減/ただし多く食べてもリスク下がらず>。「適量」を例示したうえで、多く食べればいいわけではないこともうたっており、優れた見出しだと思った。

 司会 医療福祉部。

 医療福祉部長 結論から言うと、この研究で言っているのは、魚はたくさん食べた方がいいということだ。指摘のように、たくさん食べている人たちは他の食材も食べているという傾向があって、その食材がうつ病を減らすことの邪魔をしているということだ。食材の組み合わせがポイントで、魚はたくさん食べたらうつ病リスクは減る、というのがこの研究だ。そのうえで、他の食材についての言及があった方が読者にはよかったとは思う。ただ、「みられる」と表現しているように、この食材がどうなのかということについては慎重に考えるべきだ。どんな食材かというのは多少例示した方がよかったかもしれないが、これで良かったのではと思う。

 幹事 魚はたくさん食べた方がいいということか。

 医療福祉部長 食べた方がいい。もちろん、食べ過ぎて食あたりするようでは困るが。研究は、食べた方がいいけど、たくさん食べる人が他のものも食べるので、それで相殺される部分があるのではとみている。たくさん食べる人が他の食材を取らなければ、うつ病の発症リスクは最も低かっただろう。そこまで言えるほどの母集団、データではなかった。

 司会 魚をよく食べる人は、野菜いためや野菜天ぷらを食べがちなのか。それは科学的根拠ゼロでは。漁師の町の人間が野菜ばかり食べているのかというと疑問だ。

 医療福祉部長 そこまで言われると、答えが見つからない。

 幹事 見出しは何かあるか。

 情報編成総センター編集部長 ひと言で言うと、機能性食品のような見出しかなと。つまり、原稿の中身を表せばこうなるが、見出しのあり方としては美しくないなという感想だ。

 幹事 医療福祉部長の答弁だと、<魚たくさん食べる人/うつ病半減>の見出しはいい見出しだったかもしれない。

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