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余録

 「楽市楽座(らくいちらくざ)」といえば…

 「楽市楽座(らくいちらくざ)」といえば織田信長(おだのぶなが)らの施策だが、それ以前から「楽市場(らくいちば)」と呼ばれる自由市場が各地に生まれていたという。たとえば伊勢の桑名は「十(じゅう)楽(らく)の津(つ)」--極楽の港といわれた楽市場の都市だった▲楽市場には大名など権力の介入を拒む「不(ふ)入(にゅう)権(けん)」があった。免税や自由通行が保証され、他国の争いや訴訟も市内には及ばない。つまり罪人の駆け込みが許され、借金は帳消しとなり、横暴な主人から逃れられた。まさに「十楽」だ▲「日本史大事典」(平凡社)などの受け売りだが、洋の東西を問わず市場の生まれるところ自由と平和が不可欠だったのだ。今もネットの仮想空間に新たな市場が次々に生まれているが、自由と不正のいたちごっこもその宿命である▲フリーマーケットアプリの運営大手「メルカリ」が盗品などの違法出品への対策の強化に乗り出すのも成り行きというべきだろう。初回出品時に住所や氏名、生年月日の登録を求めるなど、不正抑止策の年内導入をめざすと発表した▲現金や、夏休みの自由研究の出品で世を驚かせたメルカリである。とくに万引き本など盗品売買の場になったのには批判の目もきつくなる。運営側は不正の監視体制を整えているというが、自由な仕組みに乗じる悪知恵の進化も早い▲不正を放置すれば社会の信用を失い、不正対策が利用者の「楽」を損ねればしぼんでしまう新市場だ。このジレンマとまともに向き合い、成熟の細道を探し出せるか。そう、フリマの「十楽」への道のりである。

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