連載

アートの地平から

アーツ前橋館長、住友文彦さんのコラムです。

連載一覧

アートの地平から

「周縁」の豊かな可能性=住友文彦

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 地域の伝統文化が美術に与える影響は非西洋圏では無視できない。アジアの文化施設や教育機関が西洋文化を規範に成立させた「モダニズム」とは別に、各地域の伝統的な表現が解放のための運動となるとき、それを担ったのはもっと幅広い階層に属する者たちだ。制度の外から社会に働きかける、そうした表現活動をアジアで目にすることは少なくない。

 具体的には例えば日本の民芸運動や木版画の運動が挙げられ、ヨーロッパの神秘主義やアーツアンドクラフツ運動等にも近い特徴を見いだせる。宗教や手工芸といった地域文化と深く結びつきながらも、封建的な共同体からの脱出を志向し、近代的な価値観を取り入れた芸術運動は、いわゆる近代芸術のなかでは周縁化されてきた。そのことを再考する試みは近年あちこちで目に付く。先月まで開催していた、世界で最も注目される国際展「ド…

この記事は有料記事です。

残り693文字(全文1054文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

注目の特集