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『ジャズ・アンバサダーズ「アメリカ」の音楽外交史』 著者・齋藤嘉臣さん

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 ◆著者・齋藤嘉臣(さいとう・よしおみ)さん

 (講談社選書メチエ・2160円)

政府の思惑を超えて熱狂

 戦後、大衆文化のジャズが外交や文化交流の一翼を担ったことは日本ではあまり知られていない。米政府は一流のミュージシャンたちを「ジャズ・アンバサダーズ(大使)」と名付け、世界が東西に分断された冷戦時代も、東欧やアフリカなどの諸国に相次いで送り込んだ。「トップエリートたちの交渉ではなく、冷戦が普通の人々の生活にどんな影響を与えたのかに着目したかった」。国際政治史の研究者が、その活動の軌跡をたどる。

 ジャズ大使の誕生は、1950年代半ばにさかのぼる。ソ連(当時)は「文化攻勢」をしかけ、バレエ団やオーケストラなどの高級文化を各国に派遣。民間主導による文化交流を掲げていた米政府は消極的だった。ところが、ルイ・アームストロングが欧州公演を成功させたことから、『ニューヨーク・タイムズ』がジャズを「アメリカがもつ『秘密の音響兵器』」と表現。外交戦略上、ジャズが有用であることを訴えた。ほどなくして米政府…

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