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風の色

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 風は白いときがある。遠くから吹き渡ってくるときなどに、それを感じる。

 白を秋の風に限ると、芭蕉の句「石山の石より白し秋の風」が浮かび上がってくる。

 無論、風の色は写実ではない。しかし、この句が実感を伴うのは、うたわれた那谷寺の石が白いという事実や、中国の五行思想において秋を白と結び付ける背景もあるだろうが、何よりも「し、し、し、し」と「し」が重ねられているからではないかと思う。子音のリズムが立ち、色を呼び込んでいる。

 音は視覚を含んでいる。目をあけていなくとも、音を聴けば、遠い、近い、右、左も細かく分かる。スクリャービンほど、ひとつひとつの音に色が直結して見えなくとも、そこはかとなく音から色が感じられることはある。音の生まれる状況や背景も影響してくるだろう。

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