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Shall・we・バレエ?

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くるみ割り人形 ヒロインは少女か女王か

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東京バレエ団によるベジャール版「くるみ割り人形」の1場面。12月16、17日、東京文化会館で再演される=長谷川清徳撮影
東京バレエ団によるベジャール版「くるみ割り人形」の1場面。12月16、17日、東京文化会館で再演される=長谷川清徳撮影

 歳末が近づくと、バレエ公演はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」一色になる。少女が聖夜に見た夢を描く、ホフマン原作のファンタジー。家族連れに薦めたいが、演出によってプリマバレリーナの出番が大きく異なるため、注意も必要だ。

 演出はバレエ団の数だけあるものの、大別すればヒロインが「2人」か「1人」か、に二分される。帝政ロシア時代の原版は、前者だった。まず登場するのは、クリスマスにくるみ割り人形をもらう少女で、子役もしくは小柄なダンサーが演じる。醜い人形がねずみの軍団を退治し、王子の姿に戻って少女を夢の世界へ導くと……。プリマバレリーナが女王(役名は「金平糖の精」など)として出迎え、全幕の白眉(はくび)であるグラン・パ・ド・ドゥ、つまり主演男女の踊りを見せるのだ。物語の主人公は少女で、バレエの主役は金平糖、とも言えるだろう。

 女王の役割は、少女の憧れを体現すること。曇りのない技術によって「真善美」の輝きを象徴しなければならない。これを当たり役にしたのが吉田都で、手本のような舞台映像を複数残している。その吉田がかつて、最も消耗する古典作品に「くるみ」を挙げたのには驚かされた。実働時間は最短なのに? しかし踊る側にすれば、盛り上がった物語を単身で迎え撃ち、「真打ち登場」とばかりに存在感を示さねばならない。動きに美意識が凝…

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